「プチ成り上がり」が自己啓発本のトレンド? 慶應大現役合格、年収700万…

 出版不況が嘆かれる昨今、いわゆる「自己啓発系」の書籍棚は、学生、フリーター、サラリーマン、OL……と、安定した賑わいを見せている。が、「生き方」「人生」「勇気」「方法(論)」など、あらゆる大仰なキーワードが百花繚乱するなか、ちょっとした“新しい兆候”が現出しはじめていることを、皆さんはお気づきだろうか? そして、その兆候に沿って世に出された書籍は……確実に売り上げを伸ばしている、らしい。

本, 自己啓発

『バカだから「結果」を出すしかなかった!』(著者:大野幸一/ごま書房新社)

「ビリギャル」なる言葉を最近、本屋やネットや街頭広告などで、やたら目にする。偏差値30で学年ビリのギャル女子高生が、名古屋で学習塾を経営する著者と勉学に励み、慶應義塾大学に現役合格するまでの軌跡を描いた単行本『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA)から生まれた造語である。

 あと、ある書店では『学年ビリのギャルが~(後略)』のすぐ近くに、こんな単行本も置いてあった。タイトルは『バカだから「結果」を出すしかなかった!』(ごま書房新社)。

 帯には「バカリッチになるためのシンプルな考え方」と大きくレイアウトされている。まあ、たしかに「バカ」のいうコピーは、今でもそれなりの効力を発揮するキラータームなのは間違いなく、原色に近い赤と黄色、そして黒を基調としたシンプルなデザインが、より「バカ」を引き立てる、なかなか秀逸な表紙である。

 内容も、どちらかと言えば奇をてらわないストレート・アヘッドな傾向が強く、概要を述べると、「常識を捨て、思い立ったらすぐ動け!」といったスタンダードな人生訓が、著者の体験談に絡められ、使う言葉にバラエティを加えながら、繰り返し力強く書かれている。

本, 自己啓発

渋谷にある某書店では、なんと売り上げ3位!

 しかし! ここで私がなにより注目したいのは、表紙の上にあるサブキャッチだ。

「年収150万円のとび職から、年収700万円のコンサルタントになった思考法」

「年収700万」って……!? ホンマそんなんでええのん? 「慶應大学現役合格」と同様、「秒速で1億円稼ぐ~」だとか、「一生お金に困らない~」だとか「世界のエリートに学ぶ~」だとかに比べて、成功の事例のラインがビミョーというか、むっちゃ控え目なのだ。永ちゃんの『成り上がり』をバイブルとして育ってきた我々世代からすれば、あり得ない“ささやかさ”である。

 けれど、これらの本が書店で平積みされている現実を目の当たりにすれば、否応なしに最近の若い人たちは「美味い酒やメシを食う」「イイ女を抱く」「ゴージャスな家に住む」……みたいな願望が薄く、「分相応……よりも願わくば、ちょっとだけ上?」で充分満足できるメンタルが当たり前になってきている――というリアルを、ようやく脳だけじゃなく身体で実感できたゴメス記者なのであった。そう。世の中は、すでに「プチ成り上がり」の時代に突入し始めているのだ!

<取材・文/山田ゴメス>

山田ゴメス【山田ゴメス】
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。また『解決!ナイナイアンサー』のクセ者相談員の一人でもある。日刊SPA!ではブログ「50にして未だ不惑に到らず!」(http://nikkan-spa.jp/gomesu)も配信中。著書『クレヨンしんちゃん たのしいお仕事図鑑』(双葉社)も好評発売中!

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話

子どもや部下を伸ばしたい親御さんや管理職に役立つノウハウ

バカだから「結果」を出すしかなかった!

バカリッチになるためのシンプルな考え方

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