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キャリア30年の超ベテランライターが「Chat GPT」に畏怖する理由

 Chat GPTが、世界的レベルで話題を呼んでいるのは周知のとおり。今では主婦向けの昼の情報バラエティ番組でも特集が組まれ、Chat GPT仕事術を特集したビジネス雑誌は異例の売れ行きだったという。「自分の仕事をラクにしよう」と、日々Chat GPTをいじっているビジネスマンも多いはずだ。  ライター歴30年で業界的には大ベテランになる私も、「上手に活用したら、もしかすると我々が日常的にこなさねばならない一連の作業もずいぶん楽になるのではないか」と、お気軽に試してはみた。    しかし、使えば使うほどほど……そのあまりの優秀さに、背筋がぞっと寒くなった。その理由をお伝えしよう。  まず脅威を感じたのは、Chat GPTが書く「文体」の多彩さだ。  ライターとして書く文体には大雑把に、新聞や週刊誌などの「記事系」、インタビューモノなどの「口語系」、コラムやエッセイや小説などの「散文系」の3パターンがある。  しかし、そういった “テイスト” も漏れなく指示すれば、要望に合わせたなかなかの原稿が仕上がってくる。  デビュー以来、約30年間──私はクライアントの依頼によって多彩な文体を書き分け、それによって「痒い所に手が届くライター」のような立ち位置を確立してきたわけだが、そんな便利屋的な存在では、もうお仕事がいただけなくなるのだ。

ちなみにChat GPTに私のペンネーム「山田ゴメス」について尋ねるとこのような回答が。「1971年生まれ」って、「神奈川県出身」って、「代表作」が『薬物日記』って……誰やねん(笑)! 肩書き以外はすべて誤った情報だが……間違っているなりに、なんとなく “ゴメスっぽい” のが逆に怖くもある

荒い原稿でも、文字数を揃えてほぼ完ぺきに仕上げる

 まずは、私がとあるインタビュー記事で文字起こしをした“荒原稿”の段階のものを読んでもらいたい。 ××ちゃんの絵をはじめて観たとき、まず一番に「懐かしい」と思った。何が「懐かしい」のかって……上手く言えないんだけど、よく小学校とかで、「写生」の授業があるじゃない? 小学生のとき、神社の絵を描く授業があって……みんな茶色で書いていた。 でも、私はどうしてもそれが茶色には見えなかったの。当たっている光によってはピンクに見えたり金色にも見えたり……とにかくいろんな色を使って描いてたの。周囲の大人たちからはあんまり評価してもらえなかったんだけど、そのときの感情が──これまでは忘れていたんだけど、××ちゃんの絵を観た瞬間、一気にブワッと湧き出てきて……。 私は絵の専問家じゃないれど、とにかく光とか色とかの組み合わせ方が自分に近い部分がある……と直感した。こんな人がいる! 勝手に「仲間を見つけた」ような気分になっちゃった(笑)。  この400ワード弱の原稿を、Chat GPTに「200文字以内にわかりやすくまとめて」と入力してみると……以下のような “改良” がなされてきた。 ××ちゃんの絵を初めて見た時、まず一番に「懐かしい」と感じました。小学校の写生の授業で神社の絵を描いた時、周りは茶色でしたが、私は違う色を使って描いていました。その時の感情は忘れていましたが、××ちゃんの絵を見た瞬間、それが一気によみがえりました。絵の専門家ではないけれど、光や色の組み合わせ方が自分に近いと直感しました。同じような人がいるんだ!自然と「仲間を見つけた」ような気持ちになりました(笑)。  文字数は201ワード。そのまま「最終原稿」 に使えるほどのクオリティだ。  ちょっとした意地悪として、あえて誤字をいくつか紛れ込ませてもいたのだけれど、すべてきちんと修正されていた。  ちなみに「100文字以内に〜」だと、こうなる。 ××ちゃんの絵に出会い、懐かしさを感じた。子供の頃の授業や独自の色彩感覚がよみがえり、共感を得た。光と色の組み合わせ方が近く、仲間を見つけたような喜びがあった。
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句読点を入れるポイントも、勘所を抑えている
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大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など

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