“怪物”レスナーがWWE世界王座奪取!――「フミ斎藤のプロレス講座」第3回
―[フミ斎藤のプロレス講座]―
―「フミ斎藤のプロレス講座」第3回 ―
8月17日(現地時間)、カリフォルニア州ロサンゼルスのステープルス・アリーナで開催されたWWEの真夏のスーパーイベント、サマースラムで“怪物”ブロック・レスナーがジョン・シーナを下し、WWE世界ヘビー級王座奪取に成功した。
レスナーとシーナの因縁マッチは、大方の予想に反し、レスナーが一方的に攻めまくるワンサイドな試合展開となった。試合開始から30秒経過の時点でレスナーが必殺技F5を決めると、シーナはこれをかろうじてカウント2でクリア。しかし、その後はレスナーが顔面パンチとボディーへのヒザ蹴りを主体としたUFCスタイルで一方的に攻めつづけ、まったくといっていいほどシーナに反撃のチャンスを与えなかった。
それはプロレスというよりはプロレス対MMA(ミックスト・マーシャル・アーツ=総合格闘技)の他流試合のような闘いだった。レスナーは合計16発の“投げっぱなし”ジャーマン・スープレックスでシーナの――WWEスーパースターズのなかでもどちらかといえば大型の部類に入る――ヘビー級の肉体をおもしろいように宙に舞わせた。
シーナがオフェンスにまわったのは、十八番AA(アテテュード・アジャストメント)でレスナーの巨体をキャンバスのたたきつけ、グラウンドでの攻防から関節技STFUを決めたシーンだけだった。
シーナのSTFUを持ち前の怪力でふりほどいたレスナーは、スタンディング・ポジションでもグラウンドでもパンチとニーの打撃攻撃でシーナをこれでもかというほど痛めつけ、最後は満を持してのF5で完ぺきな3カウントのピンフォールを奪った。
試合終了後、宿泊先のホテルの前で代理人ポール・ヘイメンとともにネットメディア、TMZドットコムの取材を受けたレスナーは「ディス・イズ・ザ・ビギニング(きょうからがはじまり)」とコメント。WWE王座&世界ヘビー級王座の2本のチャンピオンベルトを獲得したことで、これまでの“1マッチ契約”から契約延長(専属契約)に向け、WWEサイドと契約交渉のテーブルにつく可能性を示唆した。
メインイベント以外の注目カードでは、次期WWE世界王者の最有力候補として急浮上してきたローマン・レインズが“格上”とされるランディ・オートンにフォール勝ちし、その存在感をアピールしてみせた。オートンがレインズの必殺技スピアをカウンターのRKOで切り返したシーン、レインズがオートンのパント(ペネルティー・キック)を絶妙のタイミングで空振りさせたシーンは、WWE映像の“名場面集”にアーカイブされることはまちがいない。
レスナーがWWE世界王者となり、レインズが第1コンテンダーのポジションに立ったことで、近い将来、レスナー対レインズという“未知との遭遇”が実現する可能性が出てきた。また、レスナーと前王者シーナのリターンマッチも年内におこなわれる公算が高いため、チャンピオンベルトをめぐるドラマはレスナー、シーナ、レインズの三つ巴の闘いとなるかもしれない。
元シールドのチームメート、ディーン・アンブローズとセス・ロリンズが“ランバージャック・ルール”で対戦したシングルマッチは、予想どおりといえば予想どおり、リングの周囲を取り囲んだ10数人のセコンド陣が大乱闘をくり広げる展開となり、最後は“マネー・イン・ザ・バンク”のブリーフケースでアンブローズをKOしたロリンズがトリックプレー的なフォール勝ちをスコア。仲間割れドラマはどうやら“to be continued”となった。
8・17“サマースラム”ロサンゼルス大会の試合結果は以下のとおり。
第0試合(プレ・ショー・マッチ)
○ロブ・ヴァン・ダム対セザーロ●
☆ハルク・ホーガンによるオープニング
第1試合(インターコンチネンタル選手権)
○ドルフ・シグラー対ザ・ミズ●(ジグラーが新チャンピオン)
第2試合(DIVA選手権)
○ペイジ対AJ・リー●(ペイジが新チャンピオン)
第3試合(フラッグ・マッチ)
○ルーセフ対ジャック・スワガー●
第4試合(ランバージャック・マッチ)
○セス・ロリンズ対ディーン・アンブローズ●
第5試合(シングルマッチ)
○ブレイ・ワイアット対クリス・ジェリコ●
第6試合(シングルマッチ)
○ステファニー・マクマホン対ブリー・ベラ●
第7試合(シングルマッチ)
○ローマン・レインズ対ランディ・オートン●
第8試合(WWE世界ヘビー級選手権)
○ブロック・レスナー対ジョン・シーナ●(レスナーが新チャンピオン)
サマースラム終了後、WWEの全米ツアーはロサンゼルスからラスベガスに移動。翌18日(現地時間)、ネバダ州ラスベガスのトーマス&マック・センターで“マンデーナイト・ロウ”全米生中継を開催。さらに19日はアリゾナ州フェニックスに移動し、“フライデーナイト・スマックダウン”&“WWEメインイベント”の録画収録をおこなった。
文責/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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