アメリカン・プロレスの「真夏の祭典」に注目せよ!――「フミ斎藤のプロレス講座」第2回
―[フミ斎藤のプロレス講座]―
―「フミ斎藤のプロレス講座」第2回 ―
今週は世界最大のメジャー団体WWEの話題。毎年恒例のWWEの真夏のスーパーイベント“サマースラム”が8月17日(現地時間)、カリフォルニア州ロサンゼルスのステープルス・アリーナで開催される。
サマースラムはことしで27回めの開催となる歴史と伝統のイベントだ。その第1回大会のメインイベントは、ハルク・ホーガン&“マッチョマン”ランディ・サベージ対アンドレ・ザ・ジャイアント&“ミリオンダラー・マン”テッド・デビアスのタッグマッチだった(1988年8月29日=ニューヨーク、マディソン・スクウェア・ガーデン)。サマースラムは、毎年4月第1週に開催される“祭典”レッスルマニアの“続編”といった位置づけになっている。
ロサンゼルスでのサマースラム開催は09年以来、ことしで6年連続となる。今週、ロサンゼルス市内の各地ではサマースラム・ウィークとしてWWEスーパースターズのトークショー、ミート・アンド・グリート(記念撮影会)、WWE関連グッズの即売サイン会、WWEスーパースターズとファンによる“勝ちぬきゲーム選手権”などさまざまなイベントがおこなわれている。
ことしのサマースラムの公式ラインナップ全8試合は以下のとおり。
●ジョン・シーナ対ブロック・レスナー(WWE世界ヘビー級選手権)
●ステファニー・マクマホン対ブリー・ベラ
●ローマン・レインズ対ランディ・オートン
●ディーン・アンブローズ対セス・ロリンズ(ランバージャック・マッチ)
●クリス・ジェリコ対ブレイ・ワイアット
●AJ・リー対ペイジ(DIVAチャンピオンシップ)
●ジャック・スワガー対ルーセフ(フラッグ・マッチ)
●ザ・ミズ対ドルフ・ジグラー(インターコンチネンタル選手権)
メインイベントのジョン・シーナ対ブロック・レスナーのWWE世界戦は、現在進行形のWWEの頂上対決。両者のシングルマッチは2年まえにも実現していて、今回のタイトルマッチはその再戦となる。シーナはWWE世界王座通算15回保持の“ミスターWWE”。レスナーはことしの4月の“レッスルマニア30”でジ・アンダーテイカーを下し、祭典におけるアンダーテイカーの“無敗神話”(21勝0敗)に終止符を打ったことは記憶に新しい。レスナーはWWEでデビュー後、総合格闘技UFCに転向し、UFCヘビー級王座を獲得したのちにWWEのリングにUターンしてきた超大物の“外敵”である。
ステファニー・マクマホン対ブリー・ベラのシングルマッチは、TVショー“マンデーナイト・ロウ”の定番テーマの権力闘争ドラマの完全決着戦。ステファニーはWWEオーナーのビンス・マクマホンの長女であり、WWEエグゼクティブ・プロデューサーのトリプルHの妻であることはいうまでもない。ステファニーのプロレスラーとしての実力のほどはかなりあやしいけれど、こういったリアリティーとファンタジーの境界線のあいまいな領域もまたWWEワールドの不思議さなのだろう。
人気ユニット、ザ・シールドを解散し、シングルプレーヤーとして新たな道を歩みはじめたローマン・レインズ、ディーン・アンブローズ、セス・ロリンズの3選手は今大会、それぞれシングルマッチに出場する。“無派閥”となったアンブローズは“オーソリティ=体制側”に寝返った元パートナーのロリンズと対決。次期WWE世界王者最有力候補として急浮上してきたレインズは、格上のランディ・オートンと対戦する。レインズが“大化け”するかどうかがことしのサマースラムの隠れたテーマといわれている。
公式ラインナップ全8試合(その他、ダーク・マッチ2試合を予定)の出場選手は各試合のセコンド、マネジャーなどを含めても20数名。専属契約タレント150人を抱えるWWEのなかでもサマースラム・クラスのスーパーイベントに出場できるのはトップグループのなかのトップグループということになるのだろう。
今大会には春の祭典レッスルマニアと同様、ハルク・ホーガン、リック・フレアー、ポール・オーンドーフら80年代のスーパースター、ショーン・マイケルズ、ケビン・ナッシュ、スコット・ホールら90年代のスーパースターが“カメオ出演”することも決定しているから、いったいどういうシーンでこれらの大物が登場してくるかをチェックしてみるものサマースラムのもうひとつの楽しみ方かもしれない。
同大会はPPV(ペイ・パー・ビュー=契約式有料放映)で全米生中継、WWEネットワークでは全世界同時配信され、日本国内では8月21日からJ-SPORTS(スカイパーフェクTV)をはじめとするケーブル各社で有料配信開始となる。
文責/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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