震災報道の蔭で、ムダな事業が全国で進行中
10/11発売の週刊SPA!「ムダ事業復活の悪巧みが進行中」では、メディアの震災・原発騒動を隠れ蓑に計画が進む、公務員住宅建設、JRリニア新幹線、高尾山トンネル、沖縄・泡瀬干潟干拓の現状を取材した。日刊SPA!では、本誌に掲載できなかった、その他のムダ事業を一挙公開。これらの事業には、国民の血税が投入されていることを忘れてはいけない。
◆アイランドシティ(福岡県)
総事業費3940億円。主な用途は住宅地と港湾だが、福岡市の住宅供給はすでに飽和状態。埋め立て原価12.7万円に対し、一㎡あたりの価格は7万円から最低3万円程度まで暴落。
◆東九州自動車道(福岡県・大分県)
片側2車線の場合で事業費1030億円。宇佐IC-椎田南ICの建設予定地住民らが、予定ルート変更でコスト半減できると、国に事業認定しないよう求めたが、福岡地裁は却下。
◆築地市場移転(東京都)
総事業費4316億円。老朽化した築地市場を豊洲に移転する計画だが、移転予定地から基準の4万3000倍のベンゼンを検出。反対派は現地での建替えなら1380億~1420億円と試算。
◆高速増殖炉もんじゅ(福井県)
文科省は、核燃料サイクル政策の中核・高速増殖炉の来年度研究費を7~8割削減する方針を示したが、トラブル続きで停止中のもんじゅは年間200億円の維持管理費を維持。
◆東郷ダム(北海道)
総額343億円を投じたものの、関連事業が着手から約40年経過してもダムの漏水が直せず、いまだに貯水できないのは問題と、会計検査院は今年9月、農水省に計画見直しを求めた。
◆神戸空港(兵庫県)
開港後4年目から赤字で開港当初の黒字を積み立てた基金を取り崩す状況に。今年度予算からは独立採算が崩壊、企業会計「新都市整備事業会計」から3億8400万円を繰り入れる。
◆中央環状線品川線(東京都)
渋谷線と湾岸線を結ぶわずか9.4kmの高速道路ながら、事業費4000億円。本来、首都高速株式会社が負担すべき費用の半分を、東京都が肩代わりしたため、都議会でも問題に。
◆東京外郭環状道路(東京都、埼玉県、千葉県)
総事業費1兆6000億円。関越道-東名高速間16キロを事業凍結された1970年から、40年ぶりに着工。大深度地下方式での工事のため、1mにつき1億円以上と工事費が莫大。
◆新名神高速道路(滋賀県、大阪府、京都府)
2009年末に着工した高槻第一JCT~神戸JCT間は、国交省が物差しとする費用対便益比が1.1と見直しライン近く。第二東名と新名神を合わせた総事業費は約9兆2000億円。
◆阿倍野再開発事業(大阪府)
大阪市がすすめる天王寺駅・大阪阿部野橋駅両ターミナル南西に広がる阿倍野区の再開発事業。累積赤字は2000億円超。かつては賑わった「あべの銀座商店街」は跡形もなく消滅。
◆成瀬ダム(秋田県)
総事業費1530億円。集水面積が小さく治水面の役割が期待できない上、灌漑用水や水道水の確保は、皆瀬ダムや玉川ダムなど周辺にある既存のダムの活用で補えると反対派が指摘。
◆設楽ダム (愛知県)
建設費2070億円、関連事業含めると約3000億円。ダム貯水容量の65%が不特定目的される。2002 年に完成した豊川総合用水事業で、周辺の新たな水の供給のニーズもなし。
◆那覇空港滑走路増設事業(沖縄県)
総事業費1900億円。那覇空港は昨年度55億円の赤字で、需要予測が過大との指摘も。サンゴ礁を破壊するため、環境団体からも批判。自衛隊の戦闘機使用による騒音も懸念材料。
◆四国横断自動車道(徳島県、愛媛県)
総事業費1545億円。費用対便益比が1.1と見直しライン近く。建設地すぐ近くに4車線の大型道路・徳島東環状線が来年完成予定で、一層、建設する意味が疑問視される。
◆平瀬ダム(山口県)
総事業740億円。国が事業費の2分の1程度を補助する補助ダム58事業の一つ。検証検討段階はまだ準備中にも関わらず、建設再開を狙う。建設地である、錦川は日本屈指の清流。
◆北陸新幹線(長野県、富山県、石川県ほか)
東京―高崎―長野―富山―金沢―福井―大阪を結ぶ整備新幹線で、総事業費は3兆2700億円。現在、長野―金沢間が工事中。開通に伴う在来線のJRからの切り離し、廃止が問題に。
取材・文/志葉 玲 足立力也
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