日本から「赤とんぼ」がいなくなる。背景に新農薬の使用

アキアカネの県別個体数推移 20年ほど前までは、日本中の至るところで見られた赤とんぼ(アキアカネ)。これが’00年前後を境にして、半数以上の府県で1000分の1以下に激減しているのだという。アキアカネの個体数調査を行った、石川県立大学の上田哲行教授はこう語る。

「アキアカネの個体数については、過去のデータがほとんど残っていません。そこで、残されている数少ないデータをもとに減少パターンを推計したところ、’00年前後に全国的な激減が起きていたことが判明したのです」

 それにしても1000分の1以下の激減とはただ事ではない。その原因は何なのだろうか?

「減反政策で田んぼが減ったこと、温暖化による環境の変化、湿田の乾田化などの影響も考えられます。しかし’00年前後の激減は、それでは説明がつかない。徐々に減るならわかりますが、なぜこれほどまでに激減したのか」(上田教授)

◆旧農薬と新農薬で明らかな差が

赤とんぼ そこで上田教授らが注目したのが、新農薬の使用だった。

「’90年代に認可されたイミダクロプリド、フィプロニルといった成分を使った、新しいタイプの農薬が急増していることに着目しました」

 これらの農薬は「浸透性殺虫剤」と呼ばれ、イネの育苗箱用殺虫剤として広く使われている。イネが地中から農薬を吸収、イネの葉などを食べた害虫を殺すというものだ。田植え後の農薬散布の手間が省け、成分が環境中に撒かれないことから“エコ”な農薬ともいわれている。

 上田教授と共同研究を行った宮城大学の神宮字寛准教授は、これらの農薬がアキアカネの幼虫に与える影響を検証した。

「『ライシメータ』という水田に模した装置を使い、育苗箱用殺虫剤の影響でどれだけアキアカネの数が減少するかを調べました。すると、フィプロニルを用いた場合はまったく羽化せず、ジノテフラン、イミダクロプリドといった殺虫剤でも、30%ほどしか羽化しませんでした。一方、従来の農薬を使った場合は、農薬を使用しなかった場合と同程度の羽化が見られました」

 旧農薬と新農薬の、アキアカネ羽化率の明らかな違い。上田教授はこの結果をもとに、新農薬の増加とアキアカネ減少の因果関係を突き止めた。

「各殺虫剤の都道府県別流通量をもとに計算したところ、各地で’00年前後から急激に減少が始まり、’09年時点では半数以上の府県で’90年の1000分の1以下に減少しているという結果になりました。そして、新農薬出荷量増加の地域差と、アキアカネ減少の地域差もよく一致しました。このことから、アキアカネ激減の要因は、フィプロニルなど新農薬の増加だということがほぼ明らかになったのです」

 例えば、福井県のA市は今もアキアカネの大群が見られ、全国でも希少な生息地の一つである。

「A市で多く使われているのは『カルタップ』という成分の旧農薬。一方、隣接する地域でも『フィプロニル』を成分とする新農薬を使っていたところでは、アキアカネの数が激減しています」(上田教授)

取材・文/北村土龍 写真/上田哲行 日本自然保護協会 むさしの里山研究会

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