「給料払え」「ふざけるな」怒号飛び交い大混乱。脱毛大手「ミュゼ」前社長が突如放送したZoom会議に従業員が怒りの告発
昨年末から脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」の経営状態を巡るさまざまな“悪い噂”がSNS上で飛び交い、複数の大手メディアもその奇怪な内情を報じるようになった。
そして3月8日、従業員向けに“旧経営陣”による緊急Zoom説明会(第一部10時〜、第二部20時〜)が開かれた。
その模様を録画した動画を取材班は入手。「ミュゼの現状を知ってもらいたい」と従業員の1人から提供されたのだ。そこには同サロンの現状と、そこで働く従業員たちの悲しみが生々しく映し出されていた。
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「私ども“旧経営陣”とされているメンバーがいま現在も法的には正当な役員であり、株主であり、私自身はもちろん今も代表取締役社長です」
Zoom説明会の冒頭、緊張した面持ちでこのように語りだしたのは今年2月7日、ミュゼプラチナムの運営会社であるMPH株式会社(東京都港区台場)の株主総会で“解任”されたばかりの三原孔明“前社長”である。さらにこう続ける。
「皆さん、こういう言葉は使いたくありませんが、これは株主総会によって経営陣が代わったと主張する大島正人現会長とそのバックについたファンドによる“クーデター”。会社の乗っ取りです」
この主張の真偽は不明だが、すぐさまZoomに参加した従業員から反論、質問の嵐となった。
「経営者の内紛なんて私たち従業員には関係ない。いますぐ遅れている給料を払ってください」
「いったいいつになったら給料が払われるんですか」
「解任されたはずの三原さんがなぜこのような説明会を開いたのか。現経営陣に代わって、あなたたちが給料を払ってくれるというのか」
実際、ミュゼプラチナムでは昨年11月から給与の支払いが遅れはじめ、昨年12月以降の給与支払いの多くが遅延している状態が続いているという。これに対して三原前社長は、画面のなかでこう訴えた。
「昨年8月に私は社長になった。それ以来、倒産寸前と言われたミュゼの再建と従業員の皆様のために尽力してきましたが、現在は経営権を不当に奪われている状態。今回の緊急ミーティングを開催した最大の目的は、給料遅配で困窮する従業員の皆様を救うためのご提案があるからです」
なぜ全国に160店舗以上のサロンを抱え、総従業員数3千名を超える有名脱毛サロンの運営会社が、このような不可解な状況に陥っているのか。
「2月7日、株主総会が開かれ、三原氏をはじめ全役員が解任されたとされており、MPH社のホームページ上ではすぐさま新社長として阿部博氏の名前が掲載されました。しかし商業登記は、いまだ(3月10日現在)、『登記事件中』となっており閲覧できない状態です」(全国紙経済部記者)
MPH社の複数の関係者に取材したところ、昨年11月頃から三原前社長と大島正人会長の間で運営資金や経営権を巡る内紛が起き、双方ともに資金調達を担うファンドをバックにつけて熾烈な争いを繰り広げ、先月、大島会長側が実権を握るに至ったというのが実態のようだ。
三原社長も緊急Zoom説明会のなかでこうした事実を認めると、複数の参加者たちがミュートを解除し、
「ふざけるな」
「早く払えよ、給料」
などと罵声が飛び交う状況に。説明会は徐々にヒートアップ、カオスと化していったのである。
給与の支払いが遅延し、タダ働き状態の従業員たちがさらにエキサイトしていったのは、三原前社長から次のような提案、計画の発表がなされた“夜の部”だった。
「今も正当な経営者として、私は何としてもこれまで給料遅配でご迷惑をおかけしてきた皆様に、早急にお金を振り込みたい。会社を乗っ取った大島会長とは現在、簡易な裁判で経営権を争っている。しかし、判決までには相当な時間を要する可能性があり、そうなると、私たち正当な経営陣が皆さんに給与を振り込みたくても、手続きが取れない。我々経営陣が解任されて以降、私たちは会社への入室も許されず、銀行口座もいじることができなくされている。そこで皆さんに提案したいのは次のような計画です」
このように語ると、画面上にその計画案が提示された。
「会社の乗っ取り」「クーデター」解任された三原前社長が直訴
大手脱毛サロンはなぜ内紛が起きたのか?
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