更新日:2017年11月27日 21:31
カーライフ

日本車最大の弱点はデザイン!なぜダメなのかを考えてみた

アルト昨今の軽自動車といえば、とにかくデカくて、背も値段も高いクルマが流行っておりますが正直、見た目は……。そんななか、世界的にデザインがイケてるブランドのアウディと並走しても、デザイン的に負けてないのが新型アルト。まるで欧州コンパクトカーのようなステキな軽自動車ですが、そのイケてるデザインには秘密がありました MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu ◆アウディにだって負けてないもん! 新型アルトはなぜステキなのか?  世界には、何人か有名な日本人自動車デザイナーがいる。代表的なのは元ピニンファリーナのケン奥山氏(フェラーリ・エンツォ等)だが、BMWの永島譲二氏(先代3シリーズ等)や元アウディの和田智氏も高名だ。  そんななか、「次のアルトのデザインは和田さんがやったらしい」という噂が耳に入った。和田氏は’09年にアウディを退社し、現在は自らデザインスタジオを主宰している。今や世界の自動車業界のデザインリーダーたるアウディで、A6やA5などを手掛けた和田智が、今度はなんと軽自動車をやる! いったいどんなデザインになるのかと注目していましたが、こうなりました。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=789966 アルト シンプルかつ鮮烈なフォルムは、小さいながらも存在感が強く、VWポロやフィアット・プントなど欧州のコンパクトカー風。それでいて昔のアルトっぽい懐かしさもある。顔にはメガネをかけさせて印象的に仕上げているが、このメガネはまさに「和田さん本人のメガネ?」って感じもする(和田氏はメガネがトレードマークだったりします)。  アルトと言えばスズキの軽自動車の中でも最もベーシックで、デザインも安物感満点だったが、新型アルトのカタチから漂ってくるのは、大地に根が生えた力強さだ。隣に和田氏がデザインしたアウディA5を並べても、負けないだけの存在感があった。さすがッス。  この新型アルトのデザインに関して、スズキ側はあくまで「社内のデザイン」としているが、和田氏が関わったかどうかについて否定はせず、「いろいろな方とお付き合いをしたうえで、社内で仕上げた」と表現している。つまり最低でもイメージスケッチを描いたくらいのことはしてるだろう(推測)。  トヨタの3年連続販売台数世界一など、好調を維持している日本の自動車産業だが、最大の弱点はデザインにあることは明白だ。  なぜ日本車のデザインがダメか。理由はいろいろ考えられるが、まずデザイナーがサラリーマンで、身分的にも収入的にもフツーの人であることが挙げられる。フツーの人が合議制で作れば、どうしてもフツーのデザインになっちまう。  日本はほとんどの街並みが陳腐で気品に欠け、そういう環境では作るクルマもそれに似合うものになっていく、というのもある。たとえばイタリアなら街角で映えまくるスーパーカーも、日本だと掃き溜めに鶴の異物になる。だいたい日本人はカッコいいクルマに乗ることを恥ずかしがる! これじゃいいデザインができるはずはない。 ⇒【後編】「8代目アルトがイケてる秘密はスズキの英断にあり!?」に続く https://nikkan-spa.jp/788832
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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