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核シェルターに住民の半分しか入れないまま原発再稼働!? 【玄海原発の現状】

 万が一、原発でのテロや事故が起きた場合、いかに住民の安全を確保するかが大きな問題となる。だが、その準備もまだまだ進んでいないようだ。  山口祥義・佐賀県知事は就任早々の1月29日、玄海原発(佐賀県玄海町)が目の前に迫る唐津市の離島「向島」「馬渡島」「松島」を訪問。馬渡島では、原発事故時の避難用シェルターのある小中学校の体育館を訪れた。そこで「約400人の島民の約半分しか避難用シェルターに入れない」という現場を目の当たりにした。
山口祥義佐賀県知事

玄海原発が目の前の離島を視察した山口祥義佐賀県知事。島民の半分しか避難用シェルターに入れない馬渡島を訪ね、車座集会で再稼働反対などの声を聞いた

 この島で生まれ育ったお婆さんは覚悟を決めていた。 「『核シェルターを造りました』というのは名目だけ。優先的に入るのは、学生と先生でしょう。海が荒れていたら島外に行けないし、(玄海原発から島に向かって)北風が吹いていたら死ぬ覚悟をしとかんといけない」  馬渡島では知事を囲む車座集会も開かれたが、ここでも避難計画への不安が島民から出た。 「どの港からどういう船に乗ってどこに逃げるのかわからない」「(定期船が停まる)名護屋港に逃げるとしたら、もっと玄海原発に近いので、放射能が濃いほうに逃げないといけないことになる」  視察後、山口知事は「安全性の確保が最優先で、しっかりと取り組んでいきたい」と答えた。  一方、唐津市の担当者は「島民全員分のシェルター設置には鉄筋コンクリート製の建物の新設が必要で、最低3年はかかる」と話す。  元経産官僚の古賀茂明氏は「米国で避難計画が不十分で原発の稼動はできなくなったことがある。ニューヨーク州ロングアイランドの原発では島民の確実な避難方法が提示できず、運転開始直前に廃炉が決まった」と指摘する。 「日本の安全審査基準は世界一厳しい」というが、米国並みの基準を適用すると、島民分のシェルターが確保される3年後までは、原発再稼働が不可能となる。日本の原発はずさんな避難計画・安全基準のまま、再稼働に突き進んでいる。 <取材・文・写真/横田 一> ※3/10発売の週刊SPA!では「イスラム国事件で[原発テロ]が起こる!」という特集を掲載中
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
週刊SPA!3/17号(3/10発売)

表紙の人/有村架純

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