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異色のピュア・ロックユニット「坊坊主」の合言葉は「励まし(ハゲ増し!?)合ってるか~い!」

異色のピュア・ロックユニット「坊坊主」

「爆風スランプ」のサンプラザ中野くんが、デビュー30周年を記念して立ち上げた新ユニット「坊坊主(ボーボーズ)」。意外にも急拵えの感はなく、パートナーである「バイきんぐ」の小峠英二とは妙にピュアでパンキッシュな世界観を作り出している…… 撮影/八尋研吾

『RUNNER』『大きな玉ねぎの下で』など、数々のヒット曲を世に放ち、‘80~‘90年代を代表するロックバンドとして一時代を築いた「爆風スランプ」のサンプラザ中野くん(以後、中野くん)が、歌手デビュー30周年記念プロジェクトとしてブチ上げた新ユニット「坊坊主(ボーボーズ)」が話題を呼んでいる。  それもそのはず、いみじくも“ハゲ”という共通項をキーワードに中野くんが見出した新たな相棒は、あの人気お笑いコンビ「バイきんぐ」の小峠英二! “髪型(?)”と“ほうれい線”が瓜二つと指摘されたことで誕生したという、まったく想定外のこのスキンヘッド・ユニットの1stアルバム『励ます』が今月26日にリリースされると聞き、急遽、独占インタビューを敢行した。 ――まずは、新ユニット「坊坊主」誕生の経緯を教えてください。 中野くん:1年半くらい前、僕が「励(ハゲ)メタル」というアイデアを思いついたのがそもそもの始まりなんだけど、単純に“メンバー全員がハゲてるメタルバンド”を結成したら面白いだろうなと。それで、事務所のスタッフに企画を提示したら、最初はかなりウケがよかったんだけど、結局、『名前と内容がハゲ過ぎる(!?)』という指摘を受けて(笑)、頓挫してたんですよ。そんなとき、思いがけず僕のマネージャーが小峠さんの名前を挙げて、『似てますよね、中野くんと』って言うわけ。たしかに、よく見るとそっくりなんだよね、特に頭の形が。で、そこからはもうトントン拍子というか、僕が小峠さんに熱烈なラブコールを送って実現した。 小峠:でも、2人組でホントによかったと思いますよ。だって、メンバーがハゲだらけのメタルバンドってかなり気持ち悪いっすよ、ルックス的に。 中野くん:たしかに。ハゲのメンバーを4~5人集めるだけでも大変だし(笑)。それに何より、坊坊主っていうこのユニット名がイケてるよね。僕が考えたから自画自賛みたいになっちゃうけど、このユニットの一番の勝算はこのネーミングかなと……。まあ、特に根拠はないんだけど(笑)。でも、実は他にも捨てがたかったネーミング候補が何個かあって、例えば、“坊主・2・メン”とかね。事務所内での厳密な話し合いの結果、『ぎりぎりアウトかな』ってことで、没になっちゃったけど。 小峠:それ、露骨にパクリじゃないですか! アウトですよ、完全に(笑)。 ――アルバム制作は、お互いにアイデアを出し合って進めたのか。 中野くん:ほとんど面識がない状態から曲作りが始まったので、基本は僕の主導ですね。でも、レコーディング期間中に何気なく交わす会話などを通して、僕なりに小峠さんの人柄や考えがわかってきたので、小峠さん本人はアイデアを出してる気はなかったと思うけど、そこで感じたものを随所に作品に採り入れました。その好例が『東京CALLING』という曲で、これは小峠さんが人生で一番に衝撃を受けたパンク・ロックの名曲にインスパイアされたナンバーなんだけど、絶叫する小峠さんの新たな魅力を存分に感じられるはず。 小峠:僕としては、アイデアを出す余裕なんかまったくなくて、ただもう中野くんに必死に食らいついていった感じ。というか、自分がCDを出すことはもちろん、僕が学生の頃に夢中になって聴いていた爆風スランプの中野くんとユニットを組んでデビューするなんて、今までに1ミリも考えたことなかったから、なんていうのかな……やっぱ、改めて人生って面白いなって思った(笑)。先日、某テレビ番組で歌ったんだけど、収録が終わって帰宅してるとき、ふと「ああ、オレは中野くんとテレビに出たんだなぁ……」って、すごい感慨深い気持ちになっちゃって。正直、マジで嬉しかった。 中野くん:実は、僕もすごいワクワクしてる。というのも、今だから言うけど、レコーディング中は、このユニット、一体どうなっちゃうんだろ?」という不安も少なくなかった。でも、レコーディングを終えて一枚のアルバムとして聞き始めたとき、「おっ、コレは!」って、急に深い霧が晴れて後光がバーンと射すような、そんな形容し難い感覚に襲われて……。これって、30年前に自分がデビューしたときに感じた「売れるか売れないかのどっちかで、中間はない」という、あのギリギリの期待感に似てるんですよね。その意味で、こうして30周年を迎えたいま、新たに生まれ変わるというか、デビュー当時のフレッシュな気持ちが再び湧き上がってきて興奮してます。 ――「生きとし生けるものを励ましまくる」が坊坊主のコンセプトだそうですが、ズバリ、1stアルバム『励ます』はどんな作品に仕上がったのか。 中野くん:ロックって、「愛と平和とユーモア」だと僕は思ってるんだけど、この3要素がぎっしり詰まった作品だということは自信を持って言える。 小峠:真剣に聴いて欲しい曲はもちろん、真剣にバカなことやってるなあ~って曲もあったりと、とにかくヴァラエティ豊かな作品なので、僕としては肩の力を抜いてリラックスして聴くのがおススメかなと。 中野くん:あとは、やっぱり僕ら2人の“ピュア”が溢れてるよね。今年で僕は55歳になるんだけど、周囲からは未だにピュアな歌手って言われることが割と多くて、実際、僕も自分のことを「ピュアだなあ」と思ってたりもするんだけど(笑)、その点、小峠さんのピュアさ加減もなかなかハンパない。それは、小峠さんの“声”に滲み出ていて、一度聴いたら誰もが納得すると思う。だから、そんなピュア過ぎる2人のピュアとピュアがぶつかり合って生まれた、聴いてるみんなもピュアになっちゃう“ピュア・ロック”な作品。 小峠:ピュア、ピュア、連発し過ぎっすよ、中野くん(笑)。でも、マジで中野くんはピュア。テレビで歌わせてもらったとき、僕が歌詞を間違えたら、中野くんも普通に間違えたんですよ。そのとき、「こんなベテランの人でもミスるんだ」って、なんか素直に中野くんの人柄が好きになったし、同時に「やっぱこの人、ピュアだわ」ってね(笑)。しかも、収録後に一緒にエレベーターに乗ってたら、たまたま居合わせた女性を中野くんが知人と勘違いして声を掛けちゃって。そしたら中野くん、「あ、間違えました」って言って、ひとりでまったく違う階で降りて行っちゃった(笑)。あれは、かなりピュアな場面だった。 中野くん:ハハハハ! 恥ずかしいからヤメて。でも、あのときはすごい動揺しちゃったんだよね。 異色のピュア・ロックユニット「坊坊主」――坊坊主の今後の展開は。 中野くん:まずは、レコ発イベントでのお披露目ライブで、しっかりとパフォーマンスすることかな。ここで失敗すると、シボんじゃいますから(笑)。イベントが無事に成功したら、今度はいろんなところに売り込みに行って、野外フェスとかに出演させてもらうってのが美しい流れ。で、1年半後ぐらいには、デビュー以来、封印していた「中野サンプラザ」でライブをしちゃうとかもアリかもね。 小峠:えっ?! 中野サンプラザでライブしたことないんすか?  中野くん:ないんだよ。非公開のイベントで一度だけ歌ったことあるけど、「爆風スランプ」のサンプラザ中野が中野サンプラザでライブするのは、あまりにも“おいし過ぎる”から封印しようってことで、最後まで隠し持ってんのよ。だから、この際だからその禁じ手を坊坊主でキメちゃうという……。 小峠:いやいやいやいや、さすがにそれは無理っすよ! だって、30年間も封印してたんでしょ。それを坊坊主でやるのは怖いし、荷が重い。 中野くん:イイじゃん、オレの長年の夢なんだから。 小峠:長年の夢って……。余計に荷が重いっすわ(笑)。 中野くん:だって、そのために『駅前に中野サンプラザ』って曲も書いたんだから。それで、無事にライブが終わったら、ひっそりと2人でどこかの寺に行って除夜の鐘を撞くんだよ。 小峠:どんな流れすか!?(笑)。でも、そこまで中野くんに世話になっちゃうと、僕としても何かお返しをしないと……。あ、そうだ、コントを一緒にやってみるのもアリかもしんないですね。中野くん、人間そのものがオモシロいから、きっと成立しますよ。 中野くん:でもオレ、サングラスは外せないんだよね。 小峠:それは全然OKですよ。でも、コントになって急にサングラスを外したら、かなりオモシロいですけどね。「コントなんだから、外すでしょ」的な感じで(笑)。 中野くん:イイね、それ! なんか、小峠さんと話してると励まされてる気がするわ、よくわかんないけど(笑)。やっぱり、人間は励まし合って生きていかないとね。 小峠:おっしゃるとおり。「励まし合ってるかーい」が、坊坊主の合言葉ですから。坊坊主を聴いて、みんなでガンガン励まし合って欲しい。 中野くん:ウマいこと言うね、小峠さん。ちゃんと宣伝になってる(笑)。何はともあれ、坊坊主をヨロシク~。  CD発売日の今月26日には池袋サンシャインシティ噴水広場(18:00~)、30日には神奈川・ラゾーナ川崎プラザ(14:00~/16:00~)でリリース記念イベントが開催されるというが、まだまだ残暑厳しいこの季節、励ましたい人も励まされたい人も、新ユニット『坊坊主』の“激(ハゲ)しく励(ハゲ)まし”まくるそのパワーを浴びて“暑気払い”をするのもまた、乙なものかも。 取材・文/藤原哲平 撮影/八尋研吾 ●“坊坊主”のデビューアルバム『励ます』が今月26日にリリース! アルバムには、サンプラザ中野くんの盟友・パッパラー河合も参加。リード曲「励メタル」をはじめ、名曲「RUNNER」のセルフカヴァーやフィーチャリング小峠とも言うべき「東京CALLING」など、全10曲を収録した渾身の一枚 【坊坊主オフィシャルサイト】 http://www.teichiku.co.jp/artist/boubouz/
励ます

スキンヘッド・ユニット、坊坊主(ボーボーズ)

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