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朝ドラ『おむすび』が史上最低視聴率に…業界人が「そもそもヒットは期待できなかった」と語るワケ

数々のムーブメントを起こしてきた“朝ドラ”こと「連続テレビ小説」シリーズ。 90年代後半にやや低迷期があったが、‘10年以降は20%近い高視聴率をマークする作品が続き、大きな話題を振りまいてきた。 昨年放送された『虎に翼』は期間平均視聴率こそ16.8%だったが、新語・流行語大賞に同作の名ゼリフ“はて?”がノミネートされたほか、テレビ業界の各賞を総なめするなど視聴者の満足度が高い作品だった。 だが、3月28日で最終回を迎えた『おむすび』(全125話)は、期間平均世帯視聴率が13.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、朝ドラ史上最低の視聴率を更新してしまったのだ。 国民的知名度を持つ橋本環奈が主演を務めながらにして、不名誉な数字を叩き出してしまった理由を業界関係者たちに聞いた。
橋本環奈

橋本環奈 公式Instagramより

「史実に基づいた時代もの」というイメージ定着が一因

在京テレビ局でドラマのプロデューサーを担当する50代男性のA氏はこう語る。 「作品の良し悪し以前に、朝ドラが “史実に基づいた女性の半生を描く時代もの”というイメージが定着しすぎたことは大きく影響しているでしょうね。 近年も『おかえりモネ』や『舞いあがれ!』といった現代劇は評価が分かれてしまった。メインの視聴者である中高年層に刺さらない時代設定だったので、当初から高い数字は見込めないとは思っていました」 現代(平成以降)をテーマにしていたことで、そもそもヒットが期待できた作品ではないとフォローはしたものの、A氏は“大コケ”した理由についても熱く語った。

平成ギャル文化の掘り下げが甘かった

「“平成”を舞台にしてギャル文化を描いたことは面白そうだと思っていたのですが、ギャル文化の掘り下げが甘く、ギャルたちのポジティブな要素しか描かれていなかったことが残念でした。 SNSでも同じような意見を多く見ましたね。もっとギャルになる若者の本質や心境に迫れば、深いテーマを描けたと思いました。 ストーリー面でも展開がゆっくりすぎて、話が進まないもどかしさがあった。 脚本は『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)や『パリピ孔明』(フジテレビ系)、『正直不動産』(NHK)などのヒットドラマを作ってきた根本ノンジさんだったのですが、彼の魅力は日常生活での軽妙な会話劇や突飛なキャラクター。 同作では突飛な登場人物はあまり登場しませんでしたが、緩い会話劇は多くありました。しかし、そんな根本さんの真骨頂が朝ドラではあまり活きていなかった印象。朝ドラは話の展開が異常に早く、飽きさせない作りになっている。 新たな試みとして会話の面白さに焦点を当てたことが、朝ドラ視聴者を離れさせてしまった理由だと思います」
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母親役の演技に入り込めなかった橋本環奈
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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