更新日:2015年10月21日 19:43
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アメリカの司令で、自衛官たちはさらなる危険にさらされる!?

「アーミテージ・ナイ報告」は、戦略国際問題研究所(CSIS)のアーミテージ・元国務副長官とナイ・ハーバード大教授が作成した対日要望書。2000年に初めて出された後、’07年には第二次、12年にも第3次リポートで日本に要望を突きつけ、実現させていた。  山本太郎参院議員が「安保・TPP・原発再稼働で一致、完全コピーだ」と追及したのはこれの第三次リポート。「ジャパン・ハンドラー(日本を繰る人)」と呼ばれている両氏は、官邸で安倍晋三首相と面談するなど日本政府とのパイプは太い。  この報告書を見れば、安保法案、原発再稼働、TPP……。日本独自の政策だと思っていた各種政策が、実は“アメリカ様”の司令で動いていたことがよくわかる!? ◆自衛官たちは、さらなる危険にさらされる!?
神浦元彰氏(軍事評論家)。日本軍事情報センター所長

神浦元彰氏(軍事評論家)。日本軍事情報センター所長

 軍事ジャーナリストの神浦元彰氏は、「アーミテージ・ナイ報告は日本の外務省のバイブル」と語る。 「安保法制も、かつての自衛隊イラク派遣も、アーミテージ氏ら『知日派』の要求によるもの。これはそれを受けた外務省が主導して、日本の政策とされているのです。防衛省の意見や都合などは全く配慮されず、実際にリスクを負う自衛官たちは本当にいい迷惑です」  報告には「集団的自衛の禁止は日米同盟の障害である」と書かれていて、安保法制審議でも言及された「ホルムズ海峡が封鎖された場合の機雷除去」「PKO活動での武力を伴った他国の平和維持軍の防護(駆けつけ警護)」などを自衛隊が行えるように要求している。  だが、紛争地での武力行使は当然リスクを伴う。直近で問題が起きそうなのが、アフリカ東部の南スーダンでの自衛隊のPKO活動だ。政府与党は、現地に派遣されている自衛隊の武器使用基準を来春にも緩和し、駆けつけ警護を行えるようにする予定だ。  これについて神浦氏は「そんなことできるわけがない。現場の自衛官たちは頭を抱えることになるだろう」と危惧する。 「駆けつけ警護はリスクが高すぎます。現地武装勢力のワナにはまる危険性が極めて高い。例えば、外国の軍や民間人などを助けようと駆けつけたところを攻撃されることは多いにありえます。それによって自衛隊員が負傷・死亡したり、人質として身柄を拘束される恐れもある。  こうした脅威を防ぐには攻撃ヘリなどによる空爆サポートも必要ですが、PKOはあくまでも平和維持軍。戦争するわけではないので、援護を空自などが行うこともできない。ですから、自衛隊ができることは、せいぜい共同宿営地の警護などでしょう。軍事を全く知らない外務官僚や政治家が考えた政策に振り回され、生命の危険にさらされる自衛官たちが本当にかわいそうです」  安保法制では「人質に取られた邦人の救出作戦」も盛り込まれている。自衛官を救出しようとして、自衛隊側・現地側にさらに死傷者を出す、という泥沼の事態も起こるかもしれない。  10/5発売の週刊SPA!では、安倍政権[アメリカ追従政策]悪魔のリストと題した特集を掲載。安保法制、TPP、原発再稼動など、実は多くの日本の政策が「アメリカ様の司令」によるものだったことをレポートする!! 取材・文/志葉玲
週刊SPA!10/13・20合併号(10/6発売)

表紙の人/ 橋本環奈

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