植草一秀が読み解く! 財政危機は消費税アップの演出だった
欧州債務問題は、ギリシャ危機がEUの緊急対応で小康状態を得たのも束の間、イタリアに飛び火した。日本政府は財政危機を強調し、野田佳彦首相がG20会合で消費税増税方針を発表した。国民を欺く悪行がこのまま通用するか!
◆欧州債務危機に便乗!日本政府演出の財政危機は消費税大増税実現にあり!!
欧州の債務危機が一向に収まらない。ギリシャの債務危機が拡大し、今なお世界の金融市場を揺るがしている。EU(欧州連合)は10月27日の首脳会議で「包括戦略」をまとめ、危機をひとまず回避したが、その後、ギリシャのパパンドレウ首相がEU合意を受け入れるかどうかを国民投票にかけると提案。金融市場に緊張が広がった。
結局、国民投票提案は撤回され、ギリシャ首相は辞任に追い込まれた。EUの弱みは強制力のある中央政府が存在しないことだ。ドイツなどの資金支援には国内の意思決定が必要であり、’12年春まで、不安定な金融情勢が持続する可能性は高い。
欧州では南欧諸国を中心に財政危機が深刻化しており、これらの国は頭文字からGIIPS諸国などと呼ばれている。だが、真に重大な問題は、この欧州政府債務危機に便乗して、日本政府が日本の財政危機キャンペーンを実施していることだ。
確かに、足元の日本財政は急激に悪化した。90兆円規模の財政の半分を国債発行に依存する姿は家
計になぞらえれば深刻である。財務省は政府債務残高が1000兆円を突破すると喧伝する。GDP比200%を超えれば、イタリアやギリシャよりも深刻ということになる。
しかし、冷静に日本財政を分析すると、日本財政がGIIPS諸国同様の危機に直面しているというのは大きな間違いだ。
※【後編】につづく⇒ https://nikkan-spa.jp/102212
「日本財政がGIIPS諸国同様の危機に直面しているというのは大きな間違い!3つの重要な事実とは」
【政治経済学者・植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ㈱代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」(http://uekusak.cocolog-nifty.com/)も人気。著書に『日本の独立』(飛鳥新社刊)
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