ブレット・ハートはショートタイツが大嫌い――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第129回
タッグチーム、ハート・ファウンデーションでブレットのパートナーだったジム“アンビル”ナイドハートだけが例外としてブレットとおそろいのリングコスチュームを着ることを許可された。ビンスは、ブレットがやがてシングルプレーヤーに転向することを想定していたようで「シングルでやるときはコスチュームをモデルチャンジすること」をリクエストをしたという。
ビンスは上半身のシングレットとロングタイツを組み合わせたカルガリー・スタイルのリングコスチュームがあまり好きではなかったらしい。チャンピオンベルトを腰に巻くレスラーのいでたちはショートタイツとリングシューズ、というのが“マクマホン家のならわし”だった。
“先代”ビンス・マクマホン・シニアの時代は、ブルーノ・サンマルチノもボブ・バックランドも無地のショートタイツと無地のリングシューズを愛用していた。“先代”はシンプルなショートタイツとリングシューズの組み合わせを“ブレット&バター”と呼び、プロレスラーの正装と考えていた。
カルガリー出身のレスラーの多くがシングレットとロングタイツのフルコスチュームを身につけていたのは、カルガリーが厳寒の雪国だからというかんたんな理由からだった。ブレットはブレットで、シンプルな無地のショートタイツを「ルーキーがはくもの」ととらえ、カルガリー・スタイルのロングタイツにとことんこだわった。
ビンスが「チャンピオンはショートタイツ」という持論を展開すればするほど、ブレットは「じゃあ、オレはこのコスチュームのままチャンピオンになるから」と意地をはった。ビンスとブレットは率直な意見をぶつけ合うことのできる関係だった。
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