“サマースラム”inロンドンが8万人動員――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第130回
アメリカ国内のハウスショーではメインイベントのサベージ対ウォリアーのタイトルマッチが、この日はなぜか全11試合中、第8試合という微妙なポジションにレイアウトされていた。やはり、ビンスにとってウォリアーは“取り扱い注意”の商品だった。
第9試合にアンダーテイカー対キマラ(アンダーテイカーの反則勝ち)、第10試合にタタンカ対バーザーカー(タタンカのフォール勝ち)というシングルマッチ2試合が“配置”され、大トリでブレット対デイビーボーイのインターコンチネンタル選手権がおこなわれた。
ウェンブリー・スタジアムの観客は、マンチェスター生まれのデイビーボーイとカナディアンのブレットが義兄弟という縁故関係を熟知していて、デイビーボーイの妻でありブレットの妹であるダイアナがリングサイドからこの試合を見守っているというシェークスピア戯曲のような悲喜劇的シチュエーションがプロレスファンの心をゆさぶった。
ブレット対デイビーボーイのタイトルマッチは25分40秒の耐久マッチの末、デイビーボーイがリバース式回転エビ固めでブレットを下しインターコンチネンタル王座を獲得。試合終了後、この夜のヒロインのダイアナがリングにかけ上がり、兄ブレットと夫デイビーボーイのふたりを祝福した。WWE史に残る感動的なフィナーレだった。
ブレットはデイビーボーイにインターコンチネンタル王座を明け渡したことで、逆説的ではあるが、ワンランク上のWWE世界ヘビー級王座の“次期王者候補”のポジションを手に入れたのである。 (つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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