ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード16=ホーガンの自由意思――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第169回
ホーガンは、ザホリアン医師が逮捕・起訴された1991年以降、マスメディアが“ハルク・ホーガン”と“ステロイド”をほぼ同義語として論じていることに不快感を示した。
原告側のショーン・オシェー検事は、ひじょうにシンプルな質問のくり返しでホーガンの口からそれなりに予定どおりの答えを引き出した。
――ビンス・マクマホンは医師ですか?
「いいえ」
――エミリー・ファインバーグは医師ですか?
「いいえ」
――しかし、あなたはこのふたりからステロイドを買った。ハルク・ホーガンの自慢の“22インチ”の上腕はステロイドによってつくられた。
「部分的にはそうかもしれません」
――あなたはステロイドの力でハルク・ホーガンを演じてきた。
「部分的にはそうかもしれません」
――あなたとビンスはおたがいにステロイドを貸したり、借りたりしたことを認めた。つまりドラッグを分け合った。あなたは医師ですか?
「いいえ、ちがいます」
ホーガンへの尋問はここで“行き止まり”にぶつかった。オシェー検事は、ステロイドの流通の具体的な経緯についてホーガンがビンスの関与をはっきりと否定したことに不満げだった。法廷内でホーガンとビンスはついに最後の最後までいちども視線を合わせなかった。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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