白使インタビューPART2「般若心経はリバーシブル」――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第205回(1995年編)
――ビンス・マクマホンと会話をすることはありますか。
「TVマッチのときなんかですね、たまに『いい試合だった』と声をかけてくれたりしますが、まあ、仲よくおしゃべるをするという感じではないです。わたしがあまり英語ができませんし、彼は会場に入るとものすごく忙しく動きまわっている人ですし、ゆっくりはなしをする機会というのはなかなかないですね」
――WWEではTVテーピングがいちばん重要な仕事なのですよね。
「はい、選手は全員、午後1時集合という決まりになっていて、建物に着くとバックステージのところの名簿に自分の名前を記入することになっています。会場に入ると、選手はまずコスチュームに着替えておかなければならない。これも決まりなんです。テレビ用のインタビュー収録がずっとつづいて、試合がはじまるのが夜7時。試合が終わるのが午後11時過ぎで、はじめのうちは時間の経過と流れが読めませんでしたから、このTVテーピングがひじょうに苦痛でした」
――TVマッチでは白使のロゴとして入場ゲートのスクリーンに“般若心経”の文字が映し出されますね。
「『サマースラム』のときにスクリーンに“般若心経”が映るはずだったのですが、あとから映像を観た人に聞いたら、字がさかさまになっていたんだそうです。こっちの人は漢字が読めませんから、(制作サイドも)どっちが上でどっちが下かわからなかったのでしょうね」
――白使HAKUSHIというキャラクターについて。
「ブッダとか、ブッダ・バイブルに出てくる言葉だとか、そういうふうに説明するようにはしているんですが、お坊さんではないんです。巡礼者ですね。“お遍路さん”ですよね。でも、アメリカ人にお遍路さんを説明しても、たぶん、わかってもらえませんから」
――日本人でもむずかしいかもしれません。
「わたしはいま、すべてを白で統一しています。日本にしか咲かない花もあるけれど、アメリカにしか咲かない花もある。日本でしか得られないものもあるけれど、アメリカでしか得られないものもある、ということです。わたしは巡礼をつづけているのです」
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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