更新日:2022年08月07日 19:17
スポーツ

“ロイヤルランブル”ブレット・ハートの憂うつ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第210回(1996年編)

 ライバル団体のWCWはこの“ロイヤルランブル”から2日後、1.23“クラッシュ・オブ・チャンピオンズ”ラスベガス大会を開催。PPV(契約式有料放映)ではなく、火曜の夜の“無料特番”(TBSターナー・ブロードキャスティング・システムズ=ケーブル)という新しい商品をプロデュースした。  1.23“クラッシュ・オブ・チャンピオンズ”はシーザース・パレスに3100人の観衆(興行収益5万2000ドル=推定)を動員するにとどまったが、番組の視聴率は4.5パーセントという高い数字をスコアした。TBSの“プロレス事業部”であるWCWは、興行収益ではなく、あくまでもテレビ番組の視聴率そのものを団体運営のプライオリティーととらえていた。  メインイベントにラインナップされたハルク・ホーガン&“マッチョマン”ランディ・サベージ対リック・フレアー&ザ・ジャイアント(のちのビッグショー)のタッグマッチでは、数日後にスーパーボウルに出場するNFLピッツバーグ・スティーラーズのケビン・グリーンがホーガン・チームのセコンドにつき、このタイムリーな“ニュース映像”にアメリカじゅうのスポーツメディアが飛びついた。  この時点でホーガンは42歳で、サベージは43歳。エリック・ビショフWCW副社長は、ホーガン&サベージのメガ・パワーズのマネジャーとしてサベージの元妻エリザベスまでこの特番にキャスティングした。アメリカでいちばん有名なプロレスラーはホーガンとサベージ、というのがビショフ副社長の持論だった。  WWEは3.31“レッスルマニア12”をまえに2.18PPV“イン・ユア・ハウス6”の開催を決定していた。“悩めるチャンピオン”ブレットはビンス・マクマホンに対し「2カ月間の完全オフ」という難題を突きつけた。(つづく)
斎藤文彦

斎藤文彦

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