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少子高齢化の日本は「難民=労働力」との割り切りも必要か?

 しかし、納税者の立場からすれば、なぜ自らの税金が難民のために使われなければならないのか、という意見も噴出するに違いない。そうなると、日本にどんな利益があるのだろうか。 「まず前提として、日本にはすでに難民申請者や外国人が暮らしています。現在の日本政府の方針に関係なく、増えてしまっている以上は、彼らに納税者になってもらうほうが日本のメリットになりますよね」  それに加えて、人手不足に悩む中小企業が外国人を欲しているという現状もあるという。 「最近では当協会もメディアの露出が増えたことで、突然電話が鳴り『海外難民を10人派遣してください』といったような問い合わせがあります。とはいえ、難民申請者と企業のマッチングは丁寧に行うべきものなので、安易な“人材派遣”はしませんが……」  人道的支援という立て看板はあるものの、日本にとって難民問題は、経済や雇用の視点から真剣に考えるべきときが来ているのかもしれない。 【NPO法人 難民支援協会】 代表理事・石川えり。制度改善のための政策提言・調査研究、情報発信を行うなど、日本の難民保護を目的として活動。日本にいる難民から、年間2400件以上(来訪580人)の相談が寄せられている 取材・文/野中ツトム 岡田光雄 鉾木雄哉(清談社) 撮影/遠藤修哉(本誌) 写真/AFP=時事 AA/時事 ― 徹底ルポ[ニッポンの難民]を考える ―
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