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「同じ時間を過ごすことが仲間の証明」という日本文化と、過労死の問題【鴻上尚史】

 電通だけではなく、どの会社もグループも「同じ時間を過ごすこと」が、仲間であることの証明になっています。どんな成果を上げることより、どんな結果を出すことより、とにかく同じ時間を過ごすことが大切になっているのです。  それが「世間」のルールです。  欧米には「世間」はありませんから、ただ「同じ時間を過ごすこと」は目的にはならないのです。だから、ひとつの芝居、ひとつのプロジェクトが終わっても、それぞれが自分の時間で勝手に帰れるのです。全員でピリオドをつける必要はないのです。  電通は、夜22時から朝5時までの消灯を決めました。みんなで時間を共有するのも、じつに日本的です。  さっそく、朝5時に煌々と灯りのついた電通ビルがツイッターで報告されていました。22時には真っ暗にする分、朝5時から働くのでしょう。  やはり、仕事の中身より「同じ時間を過ごすこと」が大切にされる文化なのです。「ただ一緒にいること」に、みんなが心底うんざりしない限り、日本企業の過労死は悲しいけれど続くだろうと思うのです。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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※「ドン・キホーテのピアス」は週刊SPA!にて好評連載中

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本連載をまとめた「ドン・キホーテのピアス」第17巻。鴻上による、この国のゆるやかな、でも確実な変化の記録

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