アンダーテイカーと“通過”していく人びと――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第260回(1997年編)
“レッスルマニア13”以降、WWEは4.20“イン・ユア・ハウス14/テイカーズ・リベンジ”ニューヨーク州ロッチェスター、5.11“イン・ユア・ハウス15/コールド・デー・イン・ヘル”ウェストバージニア州リッチモンド、6.8“キング・オブ・ザ・リング”ロードアイランド州プロビデンス、7.6“イン・ユア・ハウス16/カナディアン・スタンピード”カナダ・アルバータ州カルガリーと4カ月連続でPPVイベントを開催。
アンダーテイカーは各PPVでそれぞれマンカインド(ミック・フォーリー)、“ストーンコールド”スティーブ・オースチン、ファルーク(ロン・シモンズ)、ベイダーを挑戦者に迎えけWWE世界王座防衛戦をおこなった。
この時代のWWEは“複数スター制”の混迷期で、いつどこでだれがベルトを手にしてもおかしくないカオス状態がつづいていた。アンダーテイカー、ブレット、ショーン、そして、すでに大ブレイク秒読み状態に入っていたストーンコールドの4人は、いずれも典型的なベビーフェースともヒールともカテゴライズすることができない、怒りや葛藤、不満や欺瞞といった内向きなメンタリティーを表現するキャラクター。
オトナ向けのストーリーラインといえばたしかにそういうことにはなるけれど、“正義の味方”ハルク・ホーガンが主人公だった時代と比較してしまうと、リング上にはどこかすっきりしない空気が漂っていた。
パープルの照明とスモークのなかをゆっくりと歩いてきて、リング下のコーナーポストのところでいったん静止し、それから両手を天高く広げるとダークなパープルの照明が一瞬にしてまばゆいばかりのカクテル光線に変わるアンダーテイカーの定番の入場シーンはこの時代にプロデュースされたものだ。
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