テリー・ファンクの“ワン・モア・ナイトをワン・モア・ナイト”――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第265回(1997年編)
すっかりオトナになったブレットは、テリーの“ファンク一家50周年記念”に花を添えるためにアマリロに帰ってきた。このとき、テリーは53歳で、ブレットが39歳。イトコみたいな間柄といっても、やっぱりちょっとだけ世代のギャップはある。
テリーはブレットを現在進行形のニューヨークのスーパースターととらえ、ブレットはテリーをリビング・レジェンド=生ける伝説と定義した。このアマリロ興行のメイキングと試合シーンは映画『ビヨンド・ザ・マット』(バリー・ブラウスタイン監督)にくわしく描かれている。
みんなが期待してくれるような“テリー・ファンク”をいったいいつまで演じられるかは、テリー自身にもわからない。“ワン・モア・ナイト、ワン・モア・ナイト”のおまじないには「神様、どうかあとワン・モア・ナイトだけ、わたしをお守りください」というお祈りの気持ちがこめられている。
アマリロ、テキサン、スピニング・トーホールド、ダブルアーム・スープレックスはテリーがジャパニーズ・ピープルに教えてくれたカタカナ英単語。“ワン・モア・ナイト”は、テリー・チルドレンがずっと感じてきた“最終回”の予感。
よれよれのテリーは、あれからさらに20年がたったいまも“ワン・モア・ナイト、ワン・モア・ナイト”とつぶやきながら年に数回、リングに上がりつづけている。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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