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“モントリオール事件”へのプロローグ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第262回(1997年編)

イン・ユア・ハウス16”PPVオフィシャル・ポスター

ブレット・ハートのホームタウン、カナダ・カルガリーで開催された7.6PPV“イン・ユア・ハウス16”。いまになってみると、このときのブレット派閥対WWEベスト5の10人タッグマッチが“モントリオール事件”の布石になっていた(写真は“イン・ユア・ハウス16”PPVオフィシャル・ポスターより)

 いまになってみれば、それは“モントリオール事件”へのプロローグだったのかもしれない。  “ヒットマン”ブレット・ハートのホームタウン、カナダのカルガリーでPPV“イン・ユア・ハウス16/カナディアン・スタンピード”が開催されたのは1997年7月6日(カナダ・アルバータ州カルガリー、サドル・ドーム)。  同夜のラインナップは、マンカインド(ミック・フォーリー)対ハンター・ハースト・ヘルムスリー(トリプルH)、ザ・グレート・サスケ対TAKAみちのく、ジ・アンダーテイカー対ベイダーのWWE世界ヘビー級選手権のシングルマッチ3試合とハート・ファウンデーション対“WWEベスト5”の10人タッグマッチの全4試合。  メインイベントの10人タッグマッチは、ブレット&オーエン・ハート&デイビーボーイ・スミス&ジム・ナイドハート&ブライアン・ピルマン対“ストーンコールド”スティーブ・オースチン&リージョン・オブ・ドゥーム(アニマル&ホーク)&ケン・シャムロック&ゴールダストという因縁ドラマの連立方程式だった。  月曜夜の連続ドラマ“ロウ・イズ・ウォー”のストーリーラインでは、ストーンコールドをチームリーダーとする“WWEベスト5”がベビーフェースで、ブレットをボスとするハート・ファウンデーションはヒールだったが、カルガリーの観客はこの日、ベビーフェース・サイドに容赦ないブーイングを浴びせ、ヒールであるはずのブレット派閥に熱狂的な大声援を送った。  サドル・ドームは1万2151人の大観衆を動員し、カルガリーにおけるプロレス興行の記録となる22万9598ドル(このほかに会場内でのグッズ販売が6万5000ドル)の興行収益をはじき出した。ローカル・メディアはWWEツアーを全面的にサポートし、地元新聞は7.6PPV“イン・ユア・ハウス16”カルガリー、7.7“ロウ”エドモントンの2大会の模様を1面トップで報道した。
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