「逮捕されてホッとした」中学3年生でキャバ嬢となった少女のその後~現在27歳・アキナ(仮名)の場合~
女子中学生や高校生を違法に働かせていたとして風俗店やキャバクラなどが摘発……近年、このようなニュースをたびたび目にする。そこで働いていた少女たちは解放され、店側も潰れて終わり。果たして、本当にそうなのだろうか。
そこで働いていた彼女たちが、およそまっとうな家庭で育ち、通常の生活に戻れるとも思えない。その後どのような人生を歩むのか……。中学時代からキャバクラで働いていたというひとりの女性と出会った。
「ウチって結局こういう仕事しかできないわけ。完全に開き直ることができたのはつい最近じゃん? ビジネスとして割り切ってからは、精神的にも、経済的にも、本当にラクになったよね」
すぼめた口からタバコの煙を細く吐き出しながら語るアキナ(仮名・27歳)。彼女は現在、自身が風俗嬢であった過去を活かすことで生計を立てている。水商売の世界に足を踏み入れたのはわずか14歳、中学3年生のときだった。
いわゆる「ギャル」に憧れていたアキナは当時、渋谷センター街を拠点に活動していたサークルに入ると、ほとんど家に帰らず、先輩や友人の家を転々とする生活を送るようになった。父親の不倫により両親は離婚、看護師の母親の元で育てられた一人っ子だった。だが、休日出勤や夜勤も多く、可愛がられた記憶は全くないという。
「だからサークルって居心地が良かったんだよね。母親は家に帰らなくても連絡すらしてこない。今では母親と縁が切れたと思ってるし、何年も会っていない。でもね、困ったのはやっぱカネ。中坊だったから、普通にバイトしようと思ってもできなかったの」
サークルに加入してすぐ「上納金」の存在を知った。月に数千円から数万円を幹部に上納することが当たり前の慣習であり、その多寡によってサークル内での立ち位置も変わっていったという。同じサークルメンバーでも、雑誌に出ているような読者モデルたちは、出演する媒体でサークルの名前を発信していくことで幹部や代表としての地位を掴み取っていた。だが、アキナにはそのどちらも不可能だった。
「サークルの先輩がさ、中坊でも働けるキャバ紹介できるよって。とにかくカネが欲しかったから飛びついたよね」
こうしてアキナは、中学3年生にしてキャバクラ嬢となった。最初の店は池袋の某店で、時給2000円でスタート。カネを稼ぐ楽しさと大人になったという高揚感から、ほとんど毎日働き、そして酒やタバコも覚えていった。間もなく、店に客としてきたホストと懇意になり、17歳でホストクラブデビューを果たす。そこから絵に描いたような転落人生が始まった。
「ホストクラブって、本当に天国みたいだと思ったよね。イケメンがウチのために尽くしてくれる。まだ子どもなのにそんな経験したら、そりゃダメになるよって感じ」
店へのツケが100万を超えたタイミングで、懇意にしていたホストから風俗で働くようにアドバイスされた。「アキナが風俗嬢になっても決して嫌いにはならないし、もっと稼いでお店に会いに来て欲しい」と、ホストは言葉巧みにアキナを誘った。
「いま考えりゃ、まるでダメ女(笑)。最初はセクキャバで働いてたけど、ホストでカネ使って足りないから、現役の女子高生ばかり働いてた裏系のデリヘルでも仕事した。朝から夜まで働いて、週に4回はホスト。18歳になってからソープに移って月300万くらい稼いでたけど、結局は精神的に病んじゃって……」
アキナはこれまで、ホストに言われた通りの店で働いて稼いだ。そして、そのお金でホストの店で散財するという生活を繰り返していたが、風俗店から支払われる給料の一部がホストに流れていた事実が発覚した。要するに、紹介手数料というわけだ。そのことを指摘すると、ホストは泣いて謝罪し、同棲するようになったが、同時に暴力を受けるようにもなった。
「もう何もかもが悪い方向にいっちゃって、覚せい剤やタマ(合成麻薬)を使うようになったのもその頃。街でスカウトされてAVにも出たよ」

カネとオトコに翻弄され続けたアキナ(仮名・27歳)の人生
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