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再起を図る飲食店経営者、厳しい資金繰りのすえに…「何かがプツッと切れた」

「やっと立ち直れそうだと思っていた矢先に……。もう完全に詰みました。店は畳みます」  東京都港区の居酒屋経営者・前田春樹さん(仮名・40代)が下唇を噛みしめる。店は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4月の中旬から休業状態。昼間には慣れない弁当を作って店頭販売もしたが、結局売り上げは前年同時期と比較して9割減。  6月の頭にやっと営業再開にこぎつけたところだった。

7月からコロナ感染者が再び急増、飲食店経営者は…

飲食店

※画像はイメージです(以下同)

「休業協力金は家賃などの支払いで全て飛びました。銀行にも融資を断られ、今日明日の営業資金すらなかった。恥ずかしながら、サラ金で20万を借りて食材を買い込みました」(前田さん、以下同)  6月中旬から下旬にかけ、店には以前の半分ほどではあるが客が戻り始めた。常連客からは、店が潰れたら困るから、と会計以上の金額を手渡されたこともあった。 「涙が出ましたよ、本当に。お客さんのためにも絶対に頑張ろうと思いました。でも……」  しかし6月末から7月にかけて、東京都内では再び感染者が急増。客足は再び止まった。 「実は、7月の頭から中旬にかけて、結構予約が入っていました。流石にその頃なら大丈夫だろうと、多くのお客さんが予約を入れてくれていたんです。こちらもそのために、仕入れなど準備をしてきましたが、予約のほとんどがキャンセルに。常連さんは、キャンセル代を払うよって言ってくれました。仕入れ代の支払いなどもありますが、これ以上は我慢ができない。残念ですが、店は7月いっぱいで閉じます。同じような仲間は、たくさんいますよ」
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起死回生を狙った弁当配達の大口オーダーがストップ
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