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「逮捕されてホッとした」中学3年生でキャバ嬢となった少女のその後~現在27歳・アキナ(仮名)の場合~

覚せい剤で逮捕…それでも「ホッとした」のが本音

 成人式の直前、アキナは覚せい剤の所持・使用で現行犯逮捕された。ホストの男が先に検挙されていて、芋づる式に逮捕されたのだ。 覚せい剤「じつはホッとしたってのが本音。当時はもう自分をコントロールできなかったんだよね。その後、更生施設に2年くらいいたんだけど、部屋が一緒だった友達と『ここ出てからどうする?』って、いつも話してて。再び社会に出るのがやっぱり不安だった……」  施設を出たアキナだったが、やはり風俗業界で働くことにした。それ以外の仕事など、できそうもなかった彼女が選んだのは、ソープランドだった。だが、その容姿では高級店で働けず、激安の大衆店に勤務した。しかし思うような収入は得られず、焦燥感を覚えていた。そんなとき、再び転機が訪れる。 「ソープの店長にウチの知り合いをお店で働かせてくれたら報奨金が出るって言われたの。カネに困ってたサークル時代の知人を十数人紹介して、ソープが無理な子には店長の知り合いを通じてエロ系ライブチャットの仕事をさせた。そのとき、これしかないって思ったの」  “人を紹介してお金を稼ぐ”こと……。現在、アキナは池袋駅にほど近いワンルームマンションにオフィスを持ち、派遣風俗嬢の紹介や管理を生業として生きている。無届けの紹介業も、デリバリーヘルス店への派遣行為も、二重派遣となり違法行為だ。とはいえ、アキナはあっけらかんとしている。 「逮捕されたら、それはそのとき。女の子たちが安心して風俗で働けるように、ちゃんと管理してるからね。ウチみたいに悪いオトコに取り込まれて堕ちていくパターンが一番ダメだから」  生業は違法だが、悪いことをやっているつもりはないと話すアキナ。月収は数百万を超えることもあるという。そのほとんどを貯金に回し、自身は23区の外れにあるマンションでひっそりと質素に生活する。唯一の楽しみは、年に数回は訪れるという東南アジア旅行だ。 「誰もウチのことを知らない世界って気がラクじゃん? 若いオトコたちがいるお店に行って、お酒を飲むの。もうカネにもオトコにもだまされるのはウンザリだから」 【伊原忠夫】 元週刊誌記者。性犯罪事件を多く担当。現在はフリーランスのウェブ編集者として、様々なネットメディアで活動中。 <取材・文/伊原忠夫>
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