彼女が下呂温泉で働く理由「自分の将来のため」
そんな彼女がどのような経緯で日本へ渡り仕事を得たのか。
友人の紹介で日本人の“
ボス”と知り合ったナップちゃん。ボスは、タイのレディボーイたちを日本の温泉や観光地に斡旋する正規の業者だという。下呂温泉で働くためには、
ダンスオーディションを受ける必要がある。合格すると、1か月間のレッスン期間があり、それを乗り越えると晴れてジャパン行きの切符が手に入る。
「このままタイでくすぶっているより、日本で新しい経験や刺激を得て、モデルやダンサーとして“
ジャパニーズ・ドリーム”を掴みたいって思ったの」
こうして厳しい審査を経て日本の下呂温泉へと渡ったナップちゃん。現在はニューハーフダンサーとして働いているのだが、どんな暮らしぶりをしているのか。
下呂温泉でニューハーフショー!?と聞けば意外に思われるかもしれないが、ここでは都内の有名ダンサーを集めたポールダンスショーが開催されたり、ものまねショー、マジックショーなど、あらゆるエンターテイメントが盛り込まれているそうだ。
そんなナップちゃんの日常だが、朝10時に起きて朝食を作り、17時にホテルへ向かうのだという。その間は、ショッピングやタイ人の友達と街をプラプラするのが日課らしい。ショーは2部制で、夜の22時まで働く。
とはいえ、「
お給料は2万バーツ(約6万5000円)ぐらい」だという。物価の高い日本で生活するには、少し安くも思えるが……。
「私は下呂温泉にお金のために来ているのじゃない。自分の将来のためよ。ここでの経験を活かしていきたい。もちろん、お給料のほとんどは家族に仕送りをしている。残ったお金は預金して、未来に備えているの」
まさに質素倹約。実際はお給料のほか、お客さんからチップをもらえることも少なくないのだとか。タイ人の仲間たちとアパートで共同生活を送り、自分の夢を追いかけながら、祖国の家族を想う。
「ワタシハゲンキニヤッテイルヨ!」
彼女の人生はまだ始まったばかりだ。ひたむきに頑張る姿を応援せずにはいられない。これからも彼女を撮り続けていきたいと思う。
久しぶりに会ったナップちゃんの胸がひとまわりもふたまわりも大きくなっていた。「どうしたの?」と尋ねると、日本に行くことが決まった後に豊胸手術を受けたそうだ。だが、股間のほうにはまだブツが残されているのだという。そこで、温泉のメッカである下呂では“
女湯なのか男湯なのか?”という素朴な疑問をぶつけてみた。すると、キュートな笑みを浮かべながらこう言った。「
女湯だよ、エヘヘっ」。もっぱら大きなムスコを携え女湯に入るという、その姿を想像するだけでムラムラしてくるのは私だけだろうか。
<取材・撮影・文/クレイジーモンキー>