明徳義塾で懲役6年!? 元高校球児・関本大介がトップレスラーになるまで【最強レスラー数珠つなぎvol.9】
「最強レスラー数珠つなぎ」――毎回のインタビューの最後に、自分以外で最強だと思うレスラーを指名してもらい、次はそのレスラーにインタビューをする。プロレスとはなにか。強さとはなにか。この連載を通して探っていきたい。
関本大介の強さに初めて気づいたのは、昨年の夏、新木場1stRINGでの大日本プロレス若手主体興行「D-RIZE」だった。メインまで出番のなかった関本は、売店に立っていた。「大会前に立つ人、多いもんな」と思っていると、大会が始まってもその場を動かない。大会が進んでも、動かない。「一体、いつまで売店にいるんだ?」と思うと間もなく、入場曲がかかった。大歓声が沸いた。試合は関本の圧勝だった。
トップレスラーと呼ばれる人は何人もいる。関本もその内の一人だ。しかし、暗がりで売店に立ち続ける強さと、華やかなリングで豪快な技を繰り広げる強さ。陰と陽、2つの強さを併せ持つレスラーはそういない。
石川修司は言った。「関本大介とかと戦う機会が増えたことによって、自分の足りないところが見つかりました。身長は僕よりないですけど、パワーが全然違っていて、力負けしちゃうんですよね」
鈴木秀樹は言った。「大日本って、試合数がすごく多いんですよ。それでも関本さんなんかは、いつでもすごい試合を見せられる。そういうのが強さだと思います」
そして田中将斗はこう言って、関本大介を最強レスラーに指名した。「プロレスラーとはなんたるかというのを、すべて持っている」――。
【vol.9 関本大介】
――田中将斗選手から“最強レスラー”に指名されて、いかがですか。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1321502
関本大介(以下、関本):恐縮の一言です。たくさん試合をさせていただいて、戦いの中からいろんなことを学ばせていただいています。
――田中選手は「関本大介はだれとやってもお客さんを沸かせる試合をする」とおっしゃいました。
関本:それは田中さんです(笑)。僕は全くそんなことないです。
――鈴木秀樹選手も、同じことをおっしゃいましたが。
関本:僕はそんな人間じゃないですよ。鈴木さんはビル・ロビンソンさん直の弟子なので、鈴木さんからもいろんなことを学ばせていただいています。
――「だれとやっても沸かせる試合」というのを、意識はされていますか。
関本:意識はしていないですけど……やっぱり戦っていて熱くなる感情というのは、いつもありますね。リングに立つと、自然とそうなります。
――Twitterで関本選手への質問を募集したところ、鈴木選手から「鈴木秀樹の良いところを3つ教えてください」というリプライが届きました。
関本:なんですか、それは(笑)。鈴木秀樹さん……。プロレスに対する姿勢とか、技術もそうですし、考え方もリスペクトしています。それと、佇まいですね。佇まいだけでお金が取れるというか。昔のプロレスラーみたいな佇まいがあります。あとは、関本大介をいじめるなと言いたいです(笑)。
――鈴木選手は関本選手について、「手の合う試合をする」とおっしゃいました。ご自身ではどう思われますか。
関本:それは鈴木さんの感覚なので、僕には分からないんですけど……。鈴木さんは一撃で相手を仕留める技術を持っていますが、僕はそんなに技術を持っていないので、そういうことですかね。鈴木さんは一撃で仕留める雰囲気を持っていますよね。キラー的な(笑)。
――石川修司選手も関本選手を絶賛しています。関本選手は石川選手をどう評価していますか。
関本:修司さんは「ザ・プロレスラー」ですよ。前に会ったとき138kgと言っていたんですが、スタン・ハンセンと同じ体重やんと思いました(笑)。身長も同じですし。それでいてミサイルキックをやったりする。運動神経がいいんですよね。
――昨年、三冠戦で対戦された宮原健斗選手にも登場していただいたのですが、宮原選手はいかがですか。
関本:宮原さんはいまもう、ミスター全日本プロレスじゃないですか。すごいですよ。あれだけの技術を持っていて、あれだけ長く三冠王者として歴史のある団体を引っ張っているのは。対戦したとき、この人は本当に強いなと思いました。手脚が長いので、リーチが長い。僕は短いので羨ましいです。煌びやかで見栄えがいいのも、プロレスラーにとって才能です。
――関本選手も見栄えがいいですよ。すごい肉体です。
関本:それでしかカバーできないですから(笑)。
――先月、BJW認定世界ストロングヘビー級選手権で、負けてはしまったものの、鈴木秀樹選手とあれだけの名勝負をしたのは本当にすごいなと思います。
関本:猪木さん的に言うなら、鈴木さんの手のひらの上で転がされていたのかなという感覚ですね。鈴木さんの世界に引きずり込まれたということは、勝負論としては負けているので、そこは悔しいなと思います。次に対戦するときは、なるべく鈴木さんの世界に引きずり込まれず、自分の戦いをしたいです。ダブルアーム(・スープレックス)だけは絶対、食らわないように。……首が摘まれました(笑)。



尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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■大日本プロレス・後楽園ホール大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1401
【開催日】2017年4月28日(金)
【開場時間】17時30分
【開始時間】18時30分
【会場】後楽園ホール
■「~Endless Survivor~」横浜文化体育館大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1402
【開催日】2017年5月5日(金)
【開場時間】14時15分
【開始時間】15時00分
【会場】横浜文化体育館大会
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