困惑のサブゥー「シーク様のこと、なんて書いたんだ?」――フミ斎藤のプロレス読本#082【サブゥー編エピソード2】
サブゥーは、シーク様の巨大なシャドーから抜け出しはじめていた。生まれて初めて伯父上と口論をしてしまったし、そのおかげで以前よりもずっと仲よくなれた。シーク様はサブゥーのたぐいまれな才能を認めていた。
サブゥーはすごい勢いでビッグになりつつある。アメリカのインディー・シーンでひっぱりだこになっているとか、WWEの契約オファーを蹴ったとか、そんなちいさなことではなくて、内側=ハートからスケールが大きくなり、ツラがまえが変わってきた。
サブゥーが“サブゥー”に変身して4年になる。プロレスのキャリアは8年だが、はじめの4年間は、これもシーク様からもらったものだが、テリー・SRなんてさえないリングネームを使っていた。
シーク様のカバン持ちをしながらリング運搬用のトラックを運転して、第1試合に出たあとはひと晩じゅうレフェリーとして汗を流した。それでも、シーク様は伯父と甥の関係を周囲には明かさなかった。
「ぼくは試されていたんだ」といって、サブゥーはめずらしくにっこり笑った。
「シークだって、昔はすごいバンプをとっていたんだ。ぼくは3歳からシークの試合を観てきた。ケガをしていてろくに歩けないときでも、リングに上がるとちゃんと動けちゃうんだ。ぼくも“フォーク攻撃”にあこがれてたけど、それはサブゥーじゃないんだよね」
“これから”のはなしになると、サブゥーのブラウンの瞳がキラキラと輝きはじめた。(つづき)
※文中敬称略
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ1
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