更新日:2022年10月05日 23:27
スポーツ

困惑のサブゥー「シーク様のこと、なんて書いたんだ?」――フミ斎藤のプロレス読本#082【サブゥー編エピソード2】

 サブゥーは、シーク様の巨大なシャドーから抜け出しはじめていた。生まれて初めて伯父上と口論をしてしまったし、そのおかげで以前よりもずっと仲よくなれた。シーク様はサブゥーのたぐいまれな才能を認めていた。  サブゥーはすごい勢いでビッグになりつつある。アメリカのインディー・シーンでひっぱりだこになっているとか、WWEの契約オファーを蹴ったとか、そんなちいさなことではなくて、内側=ハートからスケールが大きくなり、ツラがまえが変わってきた。  サブゥーが“サブゥー”に変身して4年になる。プロレスのキャリアは8年だが、はじめの4年間は、これもシーク様からもらったものだが、テリー・SRなんてさえないリングネームを使っていた。  シーク様のカバン持ちをしながらリング運搬用のトラックを運転して、第1試合に出たあとはひと晩じゅうレフェリーとして汗を流した。それでも、シーク様は伯父と甥の関係を周囲には明かさなかった。  「ぼくは試されていたんだ」といって、サブゥーはめずらしくにっこり笑った。 「シークだって、昔はすごいバンプをとっていたんだ。ぼくは3歳からシークの試合を観てきた。ケガをしていてろくに歩けないときでも、リングに上がるとちゃんと動けちゃうんだ。ぼくも“フォーク攻撃”にあこがれてたけど、それはサブゥーじゃないんだよね」
斎藤文彦

斎藤文彦

 “これから”のはなしになると、サブゥーのブラウンの瞳がキラキラと輝きはじめた。(つづき) ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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⇒連載第1話はコチラ

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