サブゥーとダミアンのブロークン・イングリシュな語らい――フミ斎藤のプロレス読本#083【サブゥー編エピソード3】
メイクをしていないダミアンは、どことなくとぼけている。メイクをしているときだってそうとうとぼけているけれど、素顔になると目がくりくりしていて善人まるだしになる。もともとはマスクをかぶったルチャドールだったが、ある時期からペインティングにモデルチェンジした。FMWのリングではサブゥーとタッグを組むことが多い。
サブゥーとダミアンの会話はいつもブロークン・イングリッシュのかけ合い。サブゥーのスパニッシュよりはダミアンのイングリッシュのほうがいくらかましで、文法はかなりめちゃくちゃでも知っている単語を並べればそれなりにおたがいのことを理解することはできる。試合をするのに支障はない。
けっきょく、サブゥーは手術を断った。とりあえず、ぶらぶらしている皮膚だけは縫合しておかなければならないから、手の甲と親指のつけ根と小指に麻酔をして、傷口をきれいにしてもらった。
ドクターが注射を打っているあいだ、ダミアンはおもしろい顔をつくってサブゥーを笑わせようとした。
サブゥーは包帯をぐるぐる巻きにした“ドラえもん”の手で川崎球場のリングに上がろうとしていた。ケガのせいでいつものような動きはできないかもしれないが、試合を休むのはいやだった。シーク様が来ているから、なおさらぶざまなところはみせられない。
ダミアンは「ミーがいるから大丈夫」といって胸をはったけれど、サブゥーは川崎球場でのビッグマッチのために考えてきた新技をどういうタイミングで使おうかと、そればかり考えていた。(つづく)
※文中敬称略
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ1
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