スポーツ

地元の釣り人から不評!伝統の五輪競技「セーリング」は東京五輪観戦の超穴場な理由

セーリングはこんな競技

 セーリングという競技にはいくつかのクラスがあります。東京五輪で行なわれる予定のものでは全長約3メートルのウィンドサーフィンで争うRS:X級、全長4.9メートルの二人乗り高速ヨットで争う49er級、風を受けて宙にフワリと浮かぶこと(フォイリング)を可能にした双胴艇を操るフォイリングナクラ17級などなど。そのなかで注目したいのは、全長4.7メートルの比較的小型の二人乗りヨットを使う470級日本代表もアトランタ五輪、アテネ五輪でメダルを獲得したことがある得意の種目です。  海上にはいくつかのブイが浮かんでおり、規定のルートを巡って誰が一番最初にゴールにたどりつくか、そのタイムで争います。勝負をわけるのは風の読み合い。ヨットというのは風を帆に受けて走るわけですが、風に向かって左右45度の扇状の範囲には進むことができないのだそうです。なので、追い風なら風を受けてそのまま進めばいいわけですが、向かい風のときは一旦斜め45度方向に向かって進み、今度は切り替えして反対側の斜め45度に向かって進むというジグザグ運転をするのだそうです。  そのため、風の向きと目的地の位置関係によっては、「右斜め45度」に進んだヨットと、「左斜め45度に進んだヨット」で大きな差が生まれてしまうとのこと。さらにレース中は「グルリと一周」するようなコース設定がされるので、さっきまでの追い風が向かい風になったり、いろいろな方向からの風に対応していく形になるといいます。刻々と変化する風を読みながら、一番得な方向へと進んでいく洞察力というものが、ヨットレースの勝敗をわけるんですね。  という、基礎知識を勉強しましたところで早速レースの観戦へ。ハーバーから出て行ったヨットは桟橋の向こう側へと行ってしまったので、僕もそれを追いかけて桟橋のほうへと急ぎます。「最初から桟橋のほうにいればよかったな」とは思いましたが、コース図を見ても海図みたいな書き方でよくわからなかったので仕方ありません。で、やっとこ桟橋までたどりつくとたくさんの人が。 「おおっ、さすが1964年東京五輪開催の地!」 「地元のヨット愛を感じる」 「これは本番でもなかなか混み合いそうだな」 と思ったのですが……  よく見たら、基本的に全員釣り人!  うわ、セーリング観戦者じゃなくて釣りだった。  人々は糸を垂らして、ひたすら釣りをしています。セーリングに興味があるどころか、逆に 「こんなにガチャガチャされたら魚が逃げちまう」 「邪魔だ邪魔だ」 「こんなんじゃ釣れねぇよ」  などの文句を言い出すオヤジグループまでいる。ダメだ……全然地元に受け入れられてない……。  数多くのマイナー競技を観戦してきたフモフモ編集長も体験したことのない逆風。反発と不穏な雰囲気に包まれる会場でセーリング競技のさらなる驚きの実態が明らかになった! nextpage
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