タズ師範がECWスクールを“道場”と呼ぶ理由――フミ斎藤のプロレス読本#120【ECW編エピソード12】
得意技はアマチュア・スタイルの反り投げと柔道の関節技で、あまり好きになれないのがタッグマッチ。柔道とレスリングが体に染みついていて、首が短くて、冷蔵庫のような四角い体形をしていて、肌はダークで背はあまり高くないのがありのままの自分Meということになる。
ベビーフェースでもヒールでもない。自分Meらしい自分Meをディスプレーしようと思ったら、自然にこうなった。
タズの仕事は“ハウス・オブ・ハードコア・ドージョー”で弟子たちをしごきまくることである。ドージョーのなかではセイセンのことばが唯一無二のジャスティス(正義)になる。タズがこしらえたトレーニング・メニューをこなせなければそこにはいられない。
新しいステューデントには入門してから3カ月間はリングには触らせない。ケイコ場の壁には口やかましいくらいの“規則”が貼りだされている。
プロレスラーにとっていちばん大切なのはブラッドとスウェットとティアーズなのだ、とタズは考える。血と汗と涙は道場で流すもの、というのがタズ師範の持論。できあがったプロレスラーがリングの上でなにをどうやってみせたらいいのかまでは先生は教えない。
ウェアハウス(倉庫)を改築してつくったレスリング・スクールのドアには“ハウス・オブ・ハードコア・ドージョー”とだけ記されている。道場に足を踏み入れたら、無事でそこから出てこられるかどうかはわからない。
※文中敬称略
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文/斎藤文彦
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