カーライフ

過渡期のEVは「待ち」が正解。航続距離ほか大マスコミや世間が誤解しているEVの真実

大マスコミが報じない(?)EVの真実

 ところで、リーフを含むEVに対して、大マスコミおよび世間様は大きな誤解をしております。今回はその誤解を解くべく、正しい知識をお伝えいたしと存じます。 ●誤解その1 新型リーフの航続距離は400km  これはJC08モードという基準に則った神業以上の数値で、絶対に死んでもムリ。私どもがお借りした新型リーフの場合、フル充電状態でスイッチをONにした瞬間、航続距離274kmと表示されました。「話が違うじゃねぇか!」と怒る方もいらっしゃるかもしれません。
新型リーフの航続距離

新型リーフの航続距離は北米基準だと240kmだそうです。とはいえ、これは新車時の話で、充電池の劣化とともに航続距離の低下は避けられません。そのへんはスマホをイメージしてもらえればわかりやすいかと

 それも電欠でエンコするまで電池を使い切っての数字で、余裕を見たら200kmちょい。エアコン(特に暖房)を使うとさらに3割くらい短くなります。 ●誤解その2 EVが普及しないのは充電設備が足りないから  いまだにそういった言説を見かけますが、これは一部正しく、一部間違っております。現状のEVは、基本的に夜間自宅で普通(低速)充電し、その範囲内で走るもの。外で急速充電を多用すると、電池の寿命が急速に短くなります。
電池性能

劣化しづらいなど電池性能が飛躍的にアップする、ユーザー自身がスマホの電池パックを入れ替えるようにEVの電池を簡単かつ安価に変えられる、メーカーが安価な電池交換プランを用意する、に期待したいです

 リーフを含む多くのEVのリチウムイオン電池は、急速充電時や急速放電時に熱を発します。これが電池の劣化を早めるのです。例えば、充電設備のない月決め賃貸車庫の方がEVを買って「充電は全部外で」つーことをやると、おそらく数年で航続距離が数割落ちるでしょう。つまりEV普及のために必要性が高いのは、公共の充電設備よりも普通充電設備付きの自宅車庫なのです。  付け足しますと、現在日本で普及している急速充電設備(チャデモ)は、EVの電池容量の増加で充電速度が足りなく、上限時間内では満足な充電ができない状態です。近い将来機器の置き換えは必須。なんだか微妙に元の木阿弥ですね。  例えば、北米基準で航続距離500km(こっちはマジ)を謳うテスラモデルS。コイツをチャデモで30分間(1回あたりの上限)急速充電しても、たったの80km分しか充電されません。テスラで青森まで往復した勇者は、結局21回充電する破目になり、ホトホト懲りたとのことです。  ただし、テスラは電池の冷却性能が優れているため、急速充電しても劣化が非常に少ないとか。伝聞情報で申し訳ございません。実態は買ってみないとわかりませんネ!
新型リーフの近未来的な走り

航続距離への不安は残ったままですが、アクセルワークだけで走れる新型リーフの近未来的な走りにはカーマニアの心も踊りました

【結論】 現在、「全固体電池」なる次世代電池を各社競って開発中で、これが実用化されると、リーフを始めとする現在のEVは、すべて超時代遅れになる可能性があります。つまり今はEVにとって過渡期。「待ち」が正解かと存じます
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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