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圏央道の渋滞緩和に中央道の抜本対策が不可欠な理由

 NEXCO中日本は、圏央道八王子JCT付近で本線2車線化工事(片側1車線を2車線に拡幅)を行い、12月20日に完成させる。工事といっても、内容は車線の引き直しと、それにともなう舗装工事のみだ。

圏央道八王子JCT付近

 もともと八王子JCT内の圏央道本線は、片側2車線分の幅員で建設されていたが、交通量予測から、本線部と中央道への分岐部に1車線づつ振り分けられていた。しかし圏央道の開通が進んだことで、ここ2年間で交通量が4~5割も増加。平日、八王子JCTを先頭にした渋滞が発生するようになっていた。

 ドライバーの間には今でも「圏央道に迂回すればスイスイ」というイメージがあるが、交通量を見ると、中央道-関越道間ではもはや6万台/日を超えていて、中央道の八王子付近(約5万台/日)よりはるかに多い。圏央道はもはや、自然渋滞が頻発するド幹線になっているのだ。

 このため「中央道渋滞ボトルネックワーキンググループ」は11月22日、八王子JCT内の圏央道本線の拡幅を提言。これを受け12月1日、NEXCO中日本がその実施を発表したという流れである。

※圏央道の周辺交通量の推移(中央道渋滞ボトルネック検討WG第6回資料)

圏央道の周辺交通量の推移(中央道渋滞ボトルネック検討WG第6回資料)

 圏央道では現在、海老名JCT内の本線が片側1車線に絞られているが、ここは今回の八王子JCTとは逆に、もともと2車線だったものを、渋滞対策としてあえて1車線に絞った。海老名JCTでは、圏央道本線を直進する車両より東名-圏央道間を行き来する車両の方が多く、内回り側では海老名JCT手前で、左側への合流により速度が低下、ひどい渋滞が発生していた。そのため、本線を絞って分岐部を優先する対策を行ったのだ。これによって渋滞は大幅に緩和された。

 八王子JCTでも、以前は中央道への分岐車両の割合が高かったため、本線部と分岐部に1車線ずつ振り分けることでバランスが取れていたが、近年の圏央道の延伸でそのバランスが崩れ、かつての海老名JCTとは逆の「右側への合流交通による速度低下」が発生するようになったのである。

 今回の対策で、八王子JCTを先頭とする平日の渋滞は解消されるだろう。しかし休日、特に土曜日午前中の渋滞に関しては、まったく効果は期待できない。なぜなら土曜日午前中の渋滞は、中央道下り相模湖インター付近のサグを先頭とするもので、そちらの渋滞対策が行われない限り、緩和は不可能だからだ。
 

中央道(東京~神奈川区間)は全国有数の渋滞区間。「中央道渋滞ボトルネック検討WG第6回資料」より

 土曜日午前中の圏央道八王子JCT(両方向)は、渋滞している中央道下り線に合流する車両が非常に多い。ここでは渋滞に合流する形になるため、通常の自然渋滞より平均速度がかなり低くなり、苦痛が大きいのが特徴だ。正直なところ、土曜日午前中に圏央道を八王子JCT経由で中央道へ向かうのは自殺行為に近い(といっても迂回路などないが)。

休日(上り線)の交通量及び旅行速度(渋滞)の状況(観光シーズン)。「中央道渋滞ボトルネック検討WG第6回資料」より

 では、中央道下り線で決定している渋滞対策はというと、相模湖東―相模湖間約2kmに付加車線を設置するという付け焼刃的なもので、これが完成しても、渋滞の先頭が他のサグ(小仏トンネル等)に移るだけ。状況は大して変わらないだろう。小仏トンネルの上り線側では、別線トンネルを掘ることが決定しているので、こちらはかなりの効果が期待できる。下り線もぜひ別線トンネルを掘るべきだ。

休日(下り線)の交通量及び旅行速度(渋滞)の状況(観光シーズン)。「中央道渋滞ボトルネック検討WG第6回資料」より

 中央道の休日の渋滞は、首都圏で最も激しい。渋滞距離は東名や関越より短くても、渋滞中の速度が遅いのである。一日も早い抜本的対策が望まれるが、付け焼刃対策ですらまだ準備段階で、着手もされていないのが現状だ。

取材・文・写真/清水草一

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com




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