ワンコイン駅弁も! 昭和の薫りたっぷり、ノスタルジー駅弁の魅力
―[53回駅弁大会実食リポート]―
連日盛況となっている京王百貨店で行われている”駅弁の甲子園”「第53回元祖有名駅弁とうまいもの大会」。記者も連日参加し、新品、珍品を探し舌鼓を売っている。
今回の駅弁大会を語る上で、外せない駅弁がある。「トンかつ弁当」(500円/千葉県 総武本線 千葉駅)だ。もはや4ケタが当たり前の駅弁界において、驚愕の3ケタ、500円。毎年最安値を誇っていた駅弁大会の顔、森駅の「いかめし」ですら昨年の650円から、今大会は780円と大幅値上げをしたなかで、堂々のワンコインでの販売、今大会最安値である。
輸送コーナーの駅弁の山でも断然目を惹く真っ黄色の掛け紙。手にとると、薄い透明プラスチックの、良く言えば割り切ったペラペラな容器に驚かされる。
掛け紙の豚のコックのイラストが堪らない。どこか焦点が定まらずうつろな表情、フライパンのなかはトンカツなのか……共食い感満載である。
掛け紐を解く。輪ゴムではなく掛け紐なのは嬉しい。内蓋にはなんと「万葉軒」のロゴ。既製の容器ではなく、オリジナル容器ということが、昭和3年から千葉駅で駅弁を売ってきた矜持を感じさせてくれる。
ライスの上に、ソースに浸かったトンカツがドン! 潔いビジュアルに驚愕する。トンカツは薄いがわらじのような大きさ。ペラペラのカツながら充分に食べ応えがある。ソースが染みたライスはピリッとスパイスが利いて、旨い。飯もカツもひたすらソース味。だが、食べ始めると止まらない。これは完全に“男の子の駅弁”だ。経木で分けられた場所には、たけのこ煮と昆布の佃煮、しば漬け。ハッと我に返り、ポリポリとつまむ。
この「トンかつ弁当」(「トンカツ」、や「とんかつ」表記ではないところがいい)、昭和40年代から千葉駅で発売され、房総を旅する旅行者だけでなく、近隣の学生やサラリーマン、工員たちの腹を満たしてきたという。調整元の「万葉軒」は毎年「菜の花弁当」(650円)を大会に出品してきたが、大会側の要請でこの「とんカツ弁当」が満を持しての初登場となったという。
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【第53回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会】
1月10日(水)~23(火)
京王百貨店新宿店7階大催場
午前10時~午後8時 ※23(火)は午後6時閉場
https://www.keionet.com/info/shinjuku/ekiben2018/index.html
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