更新日:2022年12月10日 18:42
ライフ

独身中年男性がガンコに住み続ける「板橋区大山」ってどんな街?――飲食店が充実、程よい田舎感が落ち着く

上京組にうれしい丁度いい田舎感

「大山」ってどんな街?

完全個人経営の居酒屋。非モテ中年独身男性が終電で帰宅してもふらっと入れる店が充実しているのは嬉しい

 一方で大山は治安が悪いといった評判もネットなどでは散見されるが――。 「昔はわからないけど、今はせいぜい酔っ払いがクダをまいている程度では? 僕は20代前半、浅草に4年くらい住んでいたことがあるんですけど、浅草の方がよっぽど武闘派というか、柄の悪い酔っ払いのおっちゃんが少なくなかった。大山の酔っ払いは素朴で親しみやすい。夜になると道に唾が吐かれまくっているのは萎えますが(笑)。浅草は歴史や誇りもあるし、どれくらい長く浅草に住んでいるかで、住民同士マウントとりあったりもしていたけど、その点、大山は僕のような地方出身者や新参者が馴染みやすい印象です」  地方出身の一人暮らし独身男性にとって、気軽に知り合いが増える街は大きな魅力だろう。  また、学生時代に分倍河原や調布など京王線に住み、4年前、転職を機に大山に引っ越してきたという広島出身の前田健太郎さん(仮名・29歳・独身・彼女いない歴10年)にも、同様に話を聞いてみた。 「行きつけのお店はつくりやすいし、引っ越してそういうお店を離れたくない気持ちは僕もあります。タイ料理とかカレー屋とか外国人が経営するお店もやけに多いし、彼らが地元住民として普通に溶け込めているくらいですからね(笑)。ガールズバーの女の子もいかにもな感じの、商売っ気のある子があんまいない。スナックなんかも家族で気軽に入れる雰囲気」  しかし、20代の独身男性には少し物足りないのでは? 「池袋や新宿みたいに本格的な歓楽街がある街は、あくまで遊びに行く街。大山に住むのは経済的な事情ももちろんあるけど、池袋に住むという発想自体、僕にはあんまないかも。終電近くになるとお店はほとんど閉まるし、朝5時まで飲めるお店もなくはないけど、実際に大山で朝まで飲んだことはない。これくらい田舎の方が僕は落ち着きます。オシャレ要素が皆無なのもいい。今更、引っ越して新しい街でいちいちお店とか道とか覚えるのも面倒くさい」  彼らの取材中、一人2千円で馬肉と酒をアホほど飲み食いさせてくれた「馬ヲムム」では、大勢の会社帰りの男性やカップルが酒と肴を味わい上機嫌で家路つく姿が見受けられた。住む街をコスパで選ぶなら一考の価値アリだ。<取材・文/伊藤綾> ※大山町24-3・68万4000円/戸越3-5-19・104万0000円/上野5-15-13・213万0000円/高円寺北2-6-2・184万8000円(東京都財務局・東京都基準地価格いずれも/㎡、平成29年)
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
1
2
おすすめ記事