『タモリ倶楽部』にいかが? マニアだけが知っている「高速道路開通前めぐり」の秘かな楽しみ方
トンネルの向こう側に向かうべく、山道で峠を越える。途中には美しい棚田。開通後に新名神を走っていたら、出会えるはずもない風景だ。
進むにつれ、道は強烈に狭くなった。対向車が来たらバックするしかないが、ほとんどクルマと出会わない。それでも人家は点在している。住んでいるのは高齢者ばかりか。静寂の風景が続く。
峠を越え、人里に出たが、新名神は見えない。トンネル出口はまだ先のようだ。鉄道の廃線巡りなら各種ガイドブックもあるが、建設中の高速道路にはそんなものは皆無。この手探り感がたまらない。
もうひとつ山を越えるべく、再び山道に突入。道はさらに狭く、森は深くなった。大丈夫だろうかと心配になった頃、道の両側にフェンスが現れ、「NEXCO中日本管理地」の文字が。
「おおっ! ここはたぶんトンネルの真上!」
トンネルを掘る場合、その深さによって、直上の土地の区分地上権を買う必要がある。土地そのものを買ってしまうこともある。つまり、山中にNEXCOのフェンスが張ってあれば、そこは高速道路トンネルの直上だ。
そこから200mほど進むと、突然視界が開け、眼下に建設中の新名神がドカーンと現れた。
「うおおっ、すげえっ!」
新名神の亀山西JCT-新四日市JCT間は、今年度中に開通する予定。つまりあと1年弱だ。1年後には1日数万台のクルマが行き交い、現在の東名阪道・鈴鹿付近の恒常的渋滞も解消されるが、今はまだほとんどの人が、その存在すら認識していない。それをこうして秘かに眺めるヨロコビ!
高速道路は、トンネルや橋梁など建設に時間のかかる部分から着手するため、平野部の盛土や高架部がそれなりの姿になるのは、せいぜい開通の2年前あたりから。あまり“若い”と、ただ杭が打ってあるだけだったりするので、熟した頃に巡るのがキモ。開通1年前なら完熟期である。つまりこれは、知られざる名桜のつかの間の満開を見に行くような趣味なのでした……。
取材・文・写真/清水草一
取材・文・写真/清水草一
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中 1
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