テッド・デビアス “億万長者”から神の救いへ――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第67話>
“ミリオンダラー・マン”が架空のキャラクターであることはだれもが知ってるはずなのに、アリーナ以外の場所でも――空港でもホテルでもレストランでも――人びとはデビアスを“ミリオンダラー・マン”ととらえ、デビアス自身もつねに“ミリオンダラー・マン”を演じた。
“億万長者”デビアスの苦悩は、自伝本『ザ・ミリオン・ダラー・マンThe Million Dollar Man』にくわしく描かれている。
父親が45歳のときにリングの上で命を落としたため、デビアスはプロレスラーになったときから40歳で引退することを決めていた。首の故障は「神様からのメッセージだ」とデビアスは考えた。
WWEを退団後、一時WCWで悪党マネジャーを演じたこともあったが、45歳のときに神学校に入学し、キリスト教の牧師になった。
「目は体の明かりです。目を開ければ体に光が灯る。目を開けなければ、あなたの体も暗黒に包まれる」
「人生とは、その人がどんなことに目を開けて、なにを受け入れ、なにを拒絶してきたかである」
デビアスは“名声の囚人”になりそうになったとき、プロレスと別れを告げ、神に救いを求めたのだった。
●PROFILE:テッド・デビアスTed DiBiase
1954年1月18日、ネブラスカ州オハマ出身(資料によってはフロリダ州マイアミ生まれとするものもある)。少年時代にミシシッピに移り住む。本名セオドア・マービン・デビアス。1974年、デビュー。得意技はミリオンダラー・ドリーム(変形スリーパーホールド)、パワースラム、フィスト・ドロップ。スタン・ハンセンとのコンビで全日本プロレスの『“世界最強タッグ』優勝(1985年)。1987年、WWEと契約し“ミリオンダラー・マン”に変身。1994年、首の負傷で引退し、マネジャーに転向。現在はキリスト教の牧師として活動。
※文中敬称略
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文/斎藤文彦
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