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日本人妻と引き離されたクルド人男性が自殺未遂…入国管理局の非道



精神的に追い詰められて自殺未遂、さらに入管職員による暴力


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東京・品川の東京入国管理局。建物の上層階が収容施設となっている

 あまりに理不尽な東京入管の対応は、Iさんの精神を蝕み始めている。今年3月、2度目の仮放免が却下された後、Iさんは自殺を試みて首や腕、腹などを切り刻んだ。

「鉛筆削りの刃を取り出し、それで上半身を切り刻んでしまったのです。刃が小さかったので、死ぬまでには至りませんでしたが、それでも傷はかなり深く、右腕は7針も縫いました。2回目の仮放免申請が却下されてから夫は精神的に不安定になり、睡眠障害に悩まされるようになりました。入管側も夫を心療内科に連れていって診察させたのですが、精神安定剤を飲まされるだけ。なぜ、そんな状態になるまで彼を収容し続けるのでしょうか?」(Mさん)

 入管側の暴力もIさんを苦しめている。

「私に夫が入管の収容施設から電話した時のことなのですが、『共用スペースから雑居房に戻る時間だ』と電話の最中に受話器を取り上げられました。夫が抗議すると、大勢の入管職員が一斉に夫に飛びかかり、床に叩き伏せたのです。何人もの入管職員に体の上に乗られ、窒息しかけたと言っています。後日に面会した時、夫の顔に大きなアザがあって痛々しかったです」(Mさん)

 どうして東京入管は、Iさんに対してここまで理不尽な対応をするのか。Iさんの件だけでなく、東京入管は被収容者の訴えに関する筆者らメディア関係者の問い合わせに対し、「個別の事案にはお答えしない」と、明確な回答は一切しない。

配偶者にも「別れたほうがいい」「外国で暮らせば」と暴言


 市民団体「収容者友人有志一同(SYI)」のメンバーで、入管による人権侵害に詳しい織田朝日さんは「難民申請者に対しては、日本人と結婚していてもなかなか法務省が在留資格認定証明書を出しません」と言う。

「Iさんのように、日本人と正式に結婚しているのに入管施設に収容されてしまうことが、私が知る限りでも何例もあります。しかも、入管の対応に抗議する配偶者に対して『滞在資格がないのだから、(結婚相手と)別れたほうがいい』『どうしても一緒にいたいなら、日本を出て外国で暮らせばいい』といった暴言を投げつけることすらすらあります」

 法務省および入管の対応は、まるで「難民申請者と結婚したこと自体が罪」と言わんばかりのものだ。だが、難民申請者に対してはもちろんのこと、日本人の配偶者にとっても、これは重大な人権侵害であることは間違いない。<取材・文・撮影/志葉玲>

※『週刊SPA!』6/5発売号「入管収容所の外国人虐待」より

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週刊SPA!6/12・19合併号(6/5発売)

表紙の人/ 長瀬智也

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