W杯開催国ロシア、スペインを破り超満員の観客7万人が大爆発
後半開始。しかし終始ゴール前に釘づけになるロシア。攻め込まれるたびに悲鳴があがる。観客のロシア人は男性が圧倒的だが、女性もちらほらいる。攻め込まれてはカウンター、自陣深くでボールを奪ってはカウンター。スペインは攻撃にリズムを持たせるため、イニエスタ(神戸)を入れてきた。ロシアも立て続けに交代のカードを切る。選手の疲弊が思ったより早かったのか。
後半40分を越えると足を攣る選手が続出。スペインの猛攻にじっと耐えるロシア。天気が急変し、雨が降ってきて、なんだか悲壮感さえ漂ってくる。しかし、観客席はそのたびに一体感を増していき、「ロシア!ロシア!」の大合唱。なぜかセネガルの旗を身にまとったセネガル人が、応援の音頭を取ったりしている。
90分で決着が着かず、勝負は今大会初の延長戦へ。相変わらず攻め込まれるロシアだが、GKのイゴール・アキンフェエフが好セーブを連発。「延長も耐えれば、PK戦で勝てるのではないか」という空気が蔓延してきたような気がした。
事実、再三のピンチを切り抜け、120分間の戦いが終わったあとは、まるで勝ったかのような騒ぎとなった。
そしてPK戦。最初の2本は止められなかったGKだが、3本目をフェイントをかけてセーブ。5本目は逆をつかれるも、足に当ててのスーパーセーブ!「うぉーーーー!!」の大絶叫の後、誰彼ともなく抱き合うロシア人。涙を浮かべる女性、大の大人たちがギャアギャア言って騒いでいる。こんなロシア人を見るのは初めてだ。表情をあまり崩さず冷静(に見える)彼らが、あちこちで頬をすり合わせるようにして抱擁している姿は可愛らしくも見えた。
記者は、明日のベルギー戦の行われるロストフダヌー行きの飛行機を待ちながらこの原稿を書いている。ラウンジのテレビは、ひらすら今日の勝利の場面を流している。明日の日本はロシアと同じく耐える場面が多くなるだろう。そのとき後押しできる応援ができるか。喉を枯らして応援してきたい。
明日はロストフダヌーから直前情報をお伝えします。
取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)
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