更新日:2018年08月28日 21:01
エンタメ

還暦になった鴻上尚史、「夢を見ること」を描いた新作音楽劇への思い



世間的には還暦。脳内年齢は33歳

 なんだか、楽しいです。全部で7曲、歌うのですが、自分で言いますが、どの曲も素敵で、おもわず口ずさんでしまいます。  音楽劇にしたのは、ミュージカルの楽しさとセリフ劇の情報量の両方が欲しいと思ったからです。ミュージカルとセリフ劇の両方のいいとこ取りですが、絶妙なバランスになったと思います。  中村雅俊さんは永遠の青春スターで、稽古場をとにかく明るく楽しくしてくれます。雅俊さんが微笑むだけで稽古場の体温が上がります。  松岡充さんには、今回、「俳優・松岡充」を徹底してもらうように頼みました。歌が上手いのは誰もが知っているので、俳優としてさらに爆発してもらおうとしています。  中山優馬さんは、若いのにじつに達者です。こんなに上手いとは思いませんでした。すごい集中力で、ちょっと感動しています。  ミュージカルスターだった久野綾希子さんは、見事なコメディエンヌで、こんなに笑いが上手い人だとは思いませんでした。  元アイドルの森田涼花さんもまた関西人の血が騒ぐのか、笑いに対してじつに敏感で、上手いです。  全員がじつに歌が上手いのです。  この稽古をしている間に、なんと、60歳の誕生日を迎えてしまいました。あっと言う間でした。自分が60年も生きているなんて信じられません。世間的には還暦ですが、脳内ではまだ33歳ぐらいです。  夜、稽古が終わった後、雅俊さんと一緒の取材がある、とマネージャーに言われてレストランに行くと、出演者全員(アンサンブルも4人出ます)と森雪之丞さんで、サプライズ・パーティーをしてくれました。人生初でした。部屋に入った途端、クラッカーが鳴って、ハッピーバースデーの歌声が迎えてくれました。  Tシャツとパーカー、靴、スーツケース、キャップ、ちゃんちゃんこをプレゼントしてくれました。全部、真っ赤でした。ちゃんちゃんこ以外を身につけて記念写真を撮りました。

 60歳の記念の日に、中村雅俊さんをはじめとして、先達の人達と仕事ができていることは、本当に幸せだと思いました。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

『週刊SPA!』(扶桑社)好評連載コラムの待望の単行本化 第19弾!2018年1月2・9日合併号〜2020年5月26日号まで、全96本。
1
2
この世界はあなたが思うよりはるかに広い

本連載をまとめた「ドン・キホーテのピアス」第17巻。鴻上による、この国のゆるやかな、でも確実な変化の記録

おすすめ記事
ハッシュタグ