ばんえい競馬はセパレートコースを走るため、馬の利き足のような考え方はコーナリングもないため存在していない。しかし、これがばんえいの騎手となると「利き腕」の話が出てくるのである。 　それは手綱ムチを強く打てるのがどちらなのかということがコースによって影響してくるからだ。現在、ばんえいの騎手は20名。そのうち左利き……つまり「サウスポー」は船山蔵人騎手ただ一人である。 　サウスポー騎手の出番は「大外枠」のときである。ばんえい競馬の最大出走頭数は10頭立て。その10番枠に船山騎手が入るだけできっとオッズは動くだろう。セパレートをまっすぐ走る競走において、コースからヨレた側からムチを入れるというのが基本。ところが大外枠になると右には9番枠の馬がいるが、左には何もないため、左によれやすい。このとき、船山騎手以外では利き腕でない左からムチを入れなくてはいけないため制御に手間取る危険があるのだが、サウスポーである船山騎手であればむしろ得意な状況となるのだ。 　しかし過去に船山騎手の重賞勝利は1度のみ。そろそろ若手というわけにもいかない年になりつつあるので次なるステップへの奮起を大外から応援してみたい。 　見どころをいくつか紹介させていただいた。次回はボートレースのナイター注目点を取り上げたいと思います。 取材・文／佐藤永記（シグナルRight） 公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。