カーライフ

いつまでたっても「調査中」の高速道路。高速はいらないけど貧しすぎる国道は何とかすべき現状

高速道路はいらないまでもボロボロの国道だけでは厳しい事情

 が、清里から北側ではルートは国道に限られるため、事情がまるで変わる。特に野辺山から北、海ノ口、松原湖、小海あたりでは、集落の真ん中を狭くてボロい国道が貫通していて、歩道もロクになく、そこを大型トラックがビュンビュン走っている。  あまりにも道路が貧しすぎて、生活環境が脅かされているのだ。こういう地域、昭和までは全国各地にあったが、近年はあまり見なくなった。

集落の真ん中を貫通するボロボロの国道

 これはなんとかしなくてはならない。  私が2001年に書いた『この高速はいらない。』という本では、この区間に関して、「高速道路よりも国道のバイパスが必要」と判定している。バカ高い高速を造ったって、走る人はあまりいないが、貧しい国道のみという状況は、なんとかしなくてはならないと感じた。  その後、道路公団民営化にともなって、中部横断道長坂JCT-佐久小諸JCT間は、「有料道路として建設すると、費用対効果が低すぎる」ということで、新直轄方式による無料の自動車専用道になることが決まった。料金収入ではなく、税金で作る地方路線である。  すでに無料で開通している八千穂高原-佐久小諸JCTに関しては、「タダなら走らにゃ損」という感じで、過疎地路線としては交通量がかなり多く、非常に役に立っているのを肌で感じた。

八千穂高原-佐久小諸JCTは無料です

 国道を走ったら平均速度時速30km台で、ストレスばかりたまったが、中部横断道ならあっという間なのだ。対面通行の暫定2車線ではあるが、景色もよく、非常に快適。国道を通過していたトラックも、こぞってこちらに転換したので、地域環境も改善された。  ところが、野辺山付近から八千穂高原IC付近にかけては、中部横断道が未開通のため、17年前の状況のまままったく変わっていない。相変わらず、走るだけで悲しくなるような沿道風景が続く。  真に建設が望まれるのは、野辺山付近から北側だけ。貧しすぎる国道をなんとかするために、この区間を先行して建設すべきだ。本当は自動車専用道路ではなく、バイパスで十分なのだが、いまさら計画を根こそぎ変更するには、それこそ何十年もかかる。とりあえず、野辺山-八千穂高原間の先行建設を望みたい。 取材・文/清水草一
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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