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韓国軍レーダー照射事件、日韓の“証拠動画”から見えてきたものとは?

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駆逐艦「クァンゲト・デワン」の画面上の長さ39.9mm ※数値は筆者のモニタ上

 もしもカメラから駆逐艦とP-1 (哨戒機) が同じ距離にいたとした場合は、39.9 ÷ 135 × 38 = 11.23 のサイズで映るはず。ところが、8.1しかないということは、実際にはカメラからの距離は駆逐艦までの距離よりもP-1 (哨戒機)は遠くにいたことになります。記事上で説明するのは難しいので割愛しますが、三角関数を使って計算すれば、ここから画角(レンズのミリ数)が算定でき、駆逐艦との距離も出てきます。
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(カメラからの距離が同じと仮定時)画像上の距離 266.6mm ※数値は筆者のモニタ上

 奥行き、速度、その他の要素もあるため距離については概算計算となりますが、仮にカメラからの距離が同じだと仮定して計算してみると、266.6 ÷39.9 ×135 = 902 となります。最も少なく計算しても距離が500m以下という値は出ません。韓国の主張する「P-1 (哨戒機)が距離500m内を高度150m以下で低空威嚇飛行をした」とする韓国の反論動画から低空威嚇飛行はしていないと証明できました。この動画は低空威嚇飛行したとされる根拠にはなりえません。この画像の計測値があれば多くの人が計算で解析できるのでぜひ、やってみてくださいね。高度についてはこれで言い逃れできません。  防衛省の「海自P-1は、国際法や国内関連法令を遵守し、当該駆逐艦から一定の高度と距離をとって飛行しており、当該駆逐艦の上空を低空で飛行した事実はありません」という発表どおりでした。  韓国軍の発表した動画によっても、海上自衛隊のP-1 (哨戒機)が高度200m以下にはならなかったということが証明されることになります。  水平線位置で計算し少なく見積もっているので、実際にはもっと高いところを飛んでいると思われますが、計算できる最小値で考えても、韓国海軍が主張している「日本の哨戒機は150m上空、距離500mまで接近してきた」という事実はなかったということになるのです。細かい計算になってしまいましたが、日本の誇るP-1 (哨戒機)は事実を記録しますが、それを改変はできないのです。だから、いくら苦しい言い訳をしたところでその画像が雄弁に事実を物語っています。私たちの海上自衛隊は、ゴマカシが一切利かない中で、今日も広い日本の海を見つめ、守り続けてくれているのです。  余談ですが、海上自衛隊の発表した動画では、韓国の駆逐艦に接近しても、すぐには反応がありませんでした。2回目の駆逐艦接近でも反応は無かった。ところが、漁船と海洋警察庁(Korea Coast Guard)のボートに少し近づいたタイミングで火器管制レーダーの照射を受けたのです。不思議ですね。これが何を意味しているのかはわかりません。ただ……その事実からいろいろな疑念が湧き出してならないのです。<文/小笠原理恵>
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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