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自衛隊が「宇宙の平和」を守る!? マンガやアニメみたいな話が現実に

宇宙の平和を守らなきゃならない時代になりました

 少し前までは宇宙開発は米露が中心であり、米露はお互いの衛星には手を出さないという紳士協定を守っていました。冷戦時代は人口衛星の安全はお互いに保障していましたので、心配するのはスペースデブリ(宇宙のゴミ)の衝突くらいでした。  しかし、ここに中国が宇宙開発に参入してきたのです。  元大統領補佐官ピーター・ナヴァロ氏が著作『米中もし戦わば』で中国の宇宙開発について詳しく説明しています。中国は米国の人工衛星に対して、「ソフト・キル」と「ハード・キル」の両方の攻撃方法を用意しているそうです。衛星攻撃ミサイルで破壊する方法と、衛星内通信の攪乱などで一時的に衛星の機能をマヒさせる方法があります。人工衛星攻撃を具体的に検討し実装しつつあります。さらに衛星からの地上への攻撃も検討しています。日本上空に外国の人工衛星があると恐ろしいでしょう? これなんです。

クリスマスのサンタ監視のNORADがやっていること

 我が国ではピンとこない宇宙防衛ですが、米国では古くからやっています。米国とカナダの二国間組織であるNORADが航空宇宙管制と航空宇宙警戒を担当しています。戦後すぐに作られ、今の組織に統合されました。でも、一般の人には軍事組織というより、サンタ追跡(NORAD Tracks Santa)で有名な組織です。クリスマスのイベントでサンタに電話をかけるサービスのちらしに掲載された番号に誤植があり、NORADの極秘ホットラインの番号が掲載されたことが発端と聞いています。子供たちを悲しませるわけにはいかないと「サンタ追跡」をする心優しい宇宙防衛組織だなんて、まるで小説のような話です。しかし、冷戦時代前からあったほのぼのとした話題の組織も実際にはどんどん本気度を増しています。

 宇宙防衛には米露だけでなく、我が国も取り組まねばならなくなりました。宇宙空間の警戒網も構築しなければなりません。宇宙が地上にたくさんの恩恵をもたらすようになった反面、とうとう、宇宙をわれらの手で守らなきゃならない時代に突入したのです。「宇宙を守る?」と聞いて、クスッと笑うようでは時代に取り残されてしまうのです。<文/小笠原理恵>
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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