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最恐暴力団「工藤会」の現状――勢力半減に、小倉市民の複雑な声

「次は菱か?」と訝しみ嘆く小倉の人々

「以前はうちのビルも格式があったんだけどね……」  繁華街のスナックのママ(60代)がため息をつく。工藤會関係者が姿を現さなくなってから、スナックが入っているビルの近隣に毛色の違う店が増えたという。 「工藤會と関係があることを吹聴しながら飲み屋から上納金を取る半グレが増えました。3000円のガールズバーとか、若い女のコが客引きするワインバーだとか、たけのこ剥ぎみたいに客からカネを取る店が出てきた。うちのビルにも若い人が集まる騒がしいテナントが増えてきて、嫌になるわ」  店に居合わせた小倉生まれだという男性客(40代)は、“工藤會ロス”を寂しそうに語る。 「よその土地の人には想像できないだろうけど、小倉で生まれ育つと、同級生や知り合いに普通にヤクザがいるんです。厄介ごとがあればやんわり仲介してくれることもあったし、小倉はヤクザと共存してきた街なんです。工藤會組員の姿を見なくなってからは、街の風紀が乱れてきた印象があります」  そして2人は口を揃えて「工藤の次は菱(山口組)か?」と、よそ者ヤクザの台頭を危惧していた。
工藤會の今

本部から小倉競輪場を挟んで立つ、工藤會の中核組織・五代目田中組の本部も使用を制限されている

 もっとも、目立たないところで、工藤會はささやかに活動を継続しているとの情報も。ソープ街にいる風俗嬢に話を聞いた。 「こないだ、シャブ中が暴れて警察に捕まっているのを見かけたよ。工藤會のクスリのシノギは、しっかり続いてるのかもしれんね」  工藤會の組員は一体どこにいるのか? 記者は小倉の街をさまよったが、ついぞ関係者への接触は叶わなかったが、工藤會の元幹部が経営するといううどん店に入り、何気なく聞いてみた。 「工藤會の連中はまったく街中で見かけないですね。東京と同じで半グレ連中が闊歩していますよ。このうどん店もおかげさまで2年目。順調に伸びてますよ」  店主が小倉の繁華街に店を出した当初、テレビにも取材された有名店だが、元組員が安寧に商売できるということは、街から工藤會の組員が消えたことの証しだろう。
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意地だけを小倉に残し東京に望みをかける
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