更新日:2023年03月28日 08:37
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偽装パパ活女子に騙された…67万円を搾り取られた手口とは?

飲酒運転をしそうな男に狙いを定めて…

 女のコが「そんな大金持ってない」と泣き出したところで、男たちはこう脅してきたという。 「警察に突き出すか、それとも70万円支払うかと言われた。警察に行けば、多額の罰金に加えて家族や会社にも知られる。選択肢はありませんよ。促されて近くのコンビニのATMを2軒回り、67万円を下ろして差し出しました」
偽装パパ活

警察沙汰にしたくないという人間の弱みをつくのが美人局だ。やましいことをせず生きることが一番の防犯対策!?

 女のコは近くの駅まで送り届けたきり、その後一切連絡が取れなくなったという。女のコがグルだったかどうか確証はとれないが、どう見ても美人局だろう。  SPA!が取材を進めた結果、同種の美人局に加担したという女性Mさん(29歳)に取材することができた。2年前に援デリで働いていたときに知り合ったグループから誘われて始めたという。 「援デリと一緒で、打ち子(サイトに書き込み・やりとりする専門の要員)が客をつかまえて、私が男と会う。飲酒運転にうるさいのは23区内だけで、都下や関東近郊、さらに地方ではまだ飲酒運転してる人がいるんですよ。そういう男に狙いを定めてアポを取るんです。最初は五香(千葉県)や三郷(埼玉県)でやってました。相手が住む地域に合わせるので、北は小山(栃木県)や水戸、西は甲府や富士市くらいまでは行きますね。居酒屋から出てしばらく走り、赤信号になったタイミングで、バンパーにちょっと傷がつくくらいの軽さでコツンとぶつけるんです」

グループは援デリ時代につるんでいたメンバー

 恐喝する金額は、ATMで下ろせる50万円を限度にしており、相手の懐具合では10万~30万円くらいになることもあるという。 「貯金がないヤツもいたけど、消費者金融の無人機で20万円借りさせたこともあった。奪ったカネは経費を引いた後、その場で山分け。メンバーの男たちは20代が中心。ま、援交だと50万円稼ごうと思うと何人も客を引っ掛けなきゃいけない。でも、これだと体の関係はないし、めっちゃ割がいい」
偽装パパ活

これが(新)美人局の手口だ

 Mさんはこれまで、10回以上、この美人局に加担したという。 『サラリーマン、刑務所に行く!』などの著書がある、犯罪に詳しい作家・影野臣直氏は「美人局は古典的な犯罪でいくらでも事例があるので、アレンジをしやすい」と述べた上で、こう解説する。 「かつて一回3万円以上取れた援デリですが、今では相場が2万円くらいまで下がっている。食いあぐねている打ち子もたくさんいて、彼らは手っ取り早く稼ぎたいので知恵を絞って新しい悪巧みをするんです。このような犯罪は今後も増えるでしょう」  巻き込まれないためには一体どうしたらいいのだろうか。 「簡単に他人を信用しないことです。若くてかわいいコがよこしまな心なしに近づいてくるわけがない。しかるべき身分の人は、SNSでも『以前から憧れていました。お友達になってください』と近づく女性には注意したほうがいい。得体の知れない女が近寄ってきたら警戒すべきです」(影野氏)  冒頭の被害者・Tさんにも「タダで一発やれるかも?」と下心があった。パパ活やマッチングサイトには近寄らないほうがよさそうだ。 <取材・文・撮影/中山美里(オフィスキング) 渋谷ふうら 写真/PIXTA> ― [偽装パパ活]美人局の手口 ―
フリーライター。性風俗、女性問題、金融犯罪などを中心に執筆。未婚で1児を出産後、結婚。3児の母。愛人に走る女性をルポした『副業愛人』など著書多数。女性のお金や生活事情に関するルポ、詐欺事件を多く扱う。性とお金に対する欲望と向き合う人間をフィールドワークし、取材執筆を続けている。日本プロダクション協会の監事も勤めている
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