更新日:2023年03月28日 09:05
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巨大マンション群「晴海フラッグ」は買う価値あり?見学者殺到の理由とリスク

タワマン乱立の武蔵小杉とは違う点

 加えて注目しておきたいのは、晴海フラッグに“プロジェクト”と名が付けられている点だ。  一般に、ただマンションを建てて販売するだけなのに、「○○プロジェクト」と仰々しく銘打たれるケースは多い。土地を入手するところから計算すると、一企業としては大きな金額を動かしているからだ。  武蔵小杉周辺の開発を思い返して頂きたい。プロジェクトと言いながらも蓋を開けてみれば、個別のデベロッパー達が、開いた土地を個々に入手して勝手に建てて、最後は売り逃げたに過ぎない。もちろんマンション内に引き入れることが出来た保育施設などもあるにはあるが、結果として周辺はブツ切れの開発となり、総合的な街の価値を上げたとは到底言い難いところがあった。
HARUMI FLAG

画像:HARUMI FLAG公式サイト

 しかし晴海フラッグは違う。“新築マンション販売”のみではない。商業施設はお金を呼び込むために当然必要となるが、保育施設や介護施設(介護住宅)などもしっかり盛り込まれている。11社の大手デベロッパーが集い、「インフラともども12,000人の人口を呼び込んで街をつくる」、文字通りの一大プロジェクトなのだ。価値ある街を創り出そうとしているのである。  こうして見直してみると、居住空間は広く、街全体が新しく生み出され、それゆえに価格は高いーーそれが晴海フラッグである。割安ではあるが高価な代物なので、購入する世帯はおのずと限られてくるだろう。夫婦で合算して年収1000万円程度では到底及ばないかもしれない。  当たり前だが、ここは中央区、そして銀座が近い。魅力があるから、大手デベロッパー達が集結しているのである。  その価値と人気は、G.W.以降の見学会の盛況がすべてを物語っている。資産家が低層物件に流れ始めたという声もあるけれども、やはり「ここにしかない価値」に魅力を感じて、お金を出せる人々が確実に存在する。そんな彼らからすれば、晴海フラッグはオンリーワンで、「買い」ということになるのだ。<文/古川博之進>
タワマンに住む会社員。不動産業、マンション理事長の経験を元に主に不動産業界のテーマを執筆。年100回開催経験から合コンネタも扱うが、保護猫活動家の一面も持ち合わせている。
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