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相次ぐ高齢者の交通事故…親に免許を返納させるにはどうする?

親に免許を返納させるうまい手段は?

75歳以上の免許保有者が急増

出典:警察庁、国土交通省

 そうしたなか、気をもんでいるのは高齢ドライバーの近親者たちだ。池袋の事故後、SNS上には「高齢の親の免許を返納させたいが、言うことを聞かない」などといった苦悩を吐露する書き込みが相次いでいる。読者にも70~80代の親を持つ方は少なくないだろう。免許を返納させるうまい手段はないのか。今回、取材で集まった「成功例」は下記の通りだ。 ==== <成功例> ●76歳の父が運転する車を追尾しながらドライブレコーダーで録画。走行中のふらつきや、信号への反応の遅さを動画で見せると自主返納に同意してくれた(大阪府・47歳・会社員) ●車を使わせないため、築40年の実家に一人暮らししていた77歳の母を、思い切って駅近の賃貸マンションに引っ越しさせた。徒歩圏内に雀荘やパチンコ店があるので趣味が増え、返納を決断しました(東京都・50歳・主婦) ●父が80歳を過ぎても運転をやめないので「孫が描いたよ」といって、父と同じ色の車が事故を起こして人をひいた絵を見せた。すると1週間ほど考え込んで返納に同意した。その絵、実は私が娘の作風を真似て描いたんですけどね(千葉県・45歳・主婦) ●73歳になる父は、午後になると用もなく車に乗って出かけるのが日課だったけど、昼食にビールを出すようにしたら運転しなくなり、そのまま免許返納。人様をはねて死なせるよりはマシ(滋賀県・44歳・派遣社員) ●最近事故を起こした高齢ドライバーとその家族に向けられたネット上の罵詈雑言の数々を76歳の父に見せたら「晩節を汚し、孫の代まで迷惑がかかる」と免許返納に同意した(埼玉県・44歳・会社員) ●父(81歳)は認知症気味ですでに2度も事故を起こしていたので、車のキーを隠したり、バッテリーを故意に上げたりと試したけどどれもダメ。そこで、通い詰めているスナックのママ(60歳)に頼んで、「悲しいから運転やめて」と言ってもらったら一発で納得してくれた(神奈川県・54歳・会社員) ====  高齢ドライバーに返納を勧めるコツについて、NPO法人「老いの工学研究所」理事長の川口雅裕氏に話を聞いた。 「老後というのは、いわば“喪失の日々”なのです。定年退職で仕事を失い、同僚や友人とも疎遠になり、配偶者を亡くしたり……。ですから『さらに運転免許まで奪われるのか』と、意固地になってしまう人が多いのです。一方で、定年後の生活を楽しんでいる人ほど、自主返納に積極的だという話もあります。高齢期を迎えた親御さんが所在なさげであれば、地域のコミュニティや趣味のサークルなどへの参加を勧めてみてもいい。そこで新しい役割や居場所、出会いが得られれば、運転免許に固執することもなくなるのです」  確かに上に挙げた免許返納の成功例のなかにも、そうしたケースが見受けられる。 「車にどれだけの維持費がかかっているかを明示し、そのお金を旅行や食べ物に使ったらと提案するのもいい。一番よくないのは『年寄りだから危ない』と頭ごなしに言うことです」(川口氏)
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