更新日:2023年03月28日 09:18
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相次ぐ高齢者の交通事故…親に免許を返納させるにはどうする?

免許返納を誰が勧めるかも重要

 さらに、免許返納を誰が勧めるかも重要になってくるようだ。 「高齢者は、息子に言われるとプライドが邪魔して素直になれないという人も多い。孫など、心を開いている人に、自主返納を勧めてもらうのも手です」(同) 高齢者ドライバー 一方、交通ジャーナリストの今井亮一氏は「自主的な返納に期待するだけでは高齢者の事故はますます増える」と警告する。 「免許返納が今後、増えたとしても高齢者ドライバーの増加には到底追いつけない。警察庁の統計によると65歳以上の免許証の保有人口は’08年から10年間で6割以上増えており、85歳以上に限れば、約3倍に増えているんです」  さらに現状で自主返納する高齢者は東京や大阪など、公共交通機関が発達した都市に偏っている。 「地方では病院や商店までの距離が遠く、過疎地では路線バスもどんどん廃止されており、車がなければ生活ができません。行政はまず高齢者が自分で運転しなくても生活できる環境を整えたうえで、高齢者の免許更新の条件を厳格化したり、一定年齢以上の運転禁止を議論するべきです」(今井氏)  高齢者事故を食い止めるためには、「北風と太陽」の両方が必要なのかもしれない。 取材・文/奥窪優木 写真/時事通信社 ※週刊SPA!6月25日発売号「親に免許を返納させました」より
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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